■“孤独死”を防ぐためにいまから備えること
では、将来、孤独死しないために、どう備えればよいのだろうか。
【1】近隣コミュニティに参加して近所づきあいを強化しておく
太田垣さんは、「近所づきあいを深めておくことが大事」と、こうアドバイスする。
「仕事をしているうちは、無断欠勤したら会社の誰かが訪ねてきてくれますが、問題は、リタイア後。社会とのつながりがなくなれば、独居で倒れたとき気づかれません」
そうならないためには、現役時代からボランティアや習い事など、地域コミュニティとのつながりを深めておくことが必要だ。
【2】無料アプリを利用
「まずはスマホの無料アプリなどを活用してみましょう」とすすめてくれたのは、前出の鷹田さん。
「緊急支援アプリ“MySOS”の場合、“救援依頼”ボタンを押すと、事前に登録した緊急連絡先等に一斉に連絡がいく仕組みになっています」
健康診断の結果や、かかりつけ医などをアプリに登録しておくこともできるので、万が一の場合はスムーズに医療につながりやすい。
「LINEにも、友だち登録することで利用できる見守りサービスがあります」(鷹田さん)
無料なのは、NPO法人エンリッチが提供する見守りサービスだ。
あらかじめ設定した間隔で送られてくる安否確認LINEに応答しない状態が一定時間続くと、サービス提供元から本人に直接電話が入る。本人が応答しない場合、事前登録しておいた緊急連絡先に連絡が行く仕組み。
「孤立しないためには、緊急連絡先に登録している家族や友人などとは、定期的に連絡を取り合うことも大切です」(鷹田さん)
■見守り・訪問サービスなどを上手に活用する
【3】訪問サービスを利用
50代でも持病があって不安が大きいという場合は、手軽に備えられる訪問サービスがおすすめ。
ヤマト運輸が提供する見守り・訪問サービスの場合、電球を“ハローライト”に交換するだけで、定めた時間にスイッチのオンオフが確認できない場合に家族などに通知がいく。依頼に応じて宅配スタッフが自宅訪問してくれる。(利用料は月額1千78円(税込み))
「こうした見守り・訪問サービスは郵便局のほか、一部の自治体でも行っているので興味のある方は確認してみましょう」(鷹田さん)
【4】Appleウォッチを利用
Appleウォッチを活用するのもいい。Appleウォッチには、着用者が転倒した場合に、そのことを察知して手首をたたいたり警告音を発したりする機能がある。転倒者の動作が1分間認められない場合は、あらかじめ設定した緊急連絡先に通報してくれる。
「倒れてからなるべく早く発見されれば、そのぶん救命率も上がります」(鷹田さん)
【5】任意後見人を指定しておく
ただし、こうしたサービスを利用しても「“落とし穴”がある」と。前出の太田垣さん。
「日本は、その人に何かあった場合に対応できるのは家族や親族、正式に権限が与えられた人だけ。緊急連絡先を友人等にしている場合、倒れて運ばれても入院手続きや延命治療の有無など、重要事項が決定できません。家族や親族と疎遠の方は、あらかじめ公証役場で“任意後見人”を指定して、いざというときに困らないようにしておきましょう」
一億総おひとり様社会で孤独死しないために、今から備えよう!