私たちにとってもっともなじみがあるのは、やはり、銀歯だろう。
ロシア・ウクライナ戦争の影響で値上がりし、現在、治療には5千~6千円ほどかかる。
「メリットは、金属なのでとにかく頑丈なことです。審美的にはかなりマイナス。50代の人が20代、30代のころに治療した場合はアマルガム合金という素材を使っているケースが多いですが、アレルギー反応を引き起こすこともあります。長年使っていると隙間から虫歯になることもあり、要注意です」
前出のように、治療の主流となっているCAD/CAMは、1本6千円程度だ。
「銀歯から変更する場合、1回目の診察で銀歯を外し、特に異常がなければ型をとり、仮歯を入れます。当院の場合は1週間ほどで新しい歯ができあがり、2回目の診察で入れます。何も問題がなければ、これで治療は終了です」
CAD/CAMは金属アレルギーの心配がないほかに、見た目に違和感がないのが大きなメリット。色も自然に近く、透明感もある。
「天然歯より硬度が低いために、かみ合う歯にダメージを与えにくい点はメリットですが、一方、歯ぎしりや食いしばりで欠けたり、長期間の使用で摩耗してしまうことも。素材の厚みを確保する必要があり、元の歯を大きく削る点もデメリットです」
昨年末から奥歯に限り保険適用されたPEEKも1本6千円ほど。
「強化プラスチック素材なので、強度に優れています。白い材質ですが、審美的には劣っていて、パッと見ただけで天然の歯ではないとわかるほど。でも、保険適用は目立たない奥歯に限るので、銀歯よりもこちらを選ぶ人が多いです」
以上は保険診療だが、自由診療のセラミックも選択肢の一つだ。
「見た目の問題はまったくありません。ジルコニアという硬い素材を使用しているので、歯ぎしり、食いしばりに強いですが、半面、セラミックの歯と当たる歯がすり減ったりすることもあるので、慎重にかみ合わせの調整をします」
自由診療のため費用ははっきり決まっていないが、1本あたり10~15万円ほどといわれている。クリニックの立地や専門性に左右されるというので、目的に合わせて相談するのがおすすめだ。
■歯科治療費を少しでも抑えるには
歯科治療はどうしても高額なイメージがあるが、節約する方法はあるのだろうか。50代のベテラン歯科衛生士によれば、
「やはり、歯のダメージが大きいほど通院回数も増えるので、治療費がかさみます。クリーニング等で定期的に病院に通い、早期発見することが重要です。通院間隔が2~3カ月あくと、『再初診』という形で初診料が加算される場合も。2カ月に1回程度で通院されることをおすすめします」
またレントゲン、歯周病精密検査など、ありとあらゆる検査をして収益をあげるという医師、治療の説明をあまりせずに、自由診療に誘導する医師もいるという。
さらに、「検査ごとの料金もある程度知っておき、本当に必要なのか聞くことも求められます」と注意喚起する。
「デメリットや費用も含めて、しっかりと説明して選択肢を与えてくれる医師を探すこと。また、初診料などは、患者さんの都合で一定期間が経過すると再発生する可能性もあるので、追加料金がないよう、予約を守ることも大事です」と阪本さんもアドバイス。
よいクリニックを選び、治療費を少しでも節約しよう!