■くしゃみするときは“小さく前ならえ”のような姿勢で衝撃を和らげる
花粉症の症状だけでもつらいのに、さらに腰や背中を痛めてしまえば、日常生活もままならない。そうはいっても、くしゃみを止めることは難しい。いったいどうしたらいいのだろうか。
「できるだけ体に負担がかからない方法でくしゃみをすることが大切です。私はこれを『くしゃみ姿勢』と呼んでいます。くしゃみ姿勢で重要なのは、くしゃみをしたときにおなかや腰にかかる負担を分散させることです」
そこで、大けがにつながらない正しいくしゃみ姿勢を福井さんに聞いた。
「まず、くしゃみの動作に入るときは後頭部を1cm後ろに引くように息を吸いましょう。頭を前や下に傾けると腰の負担が増します。
次に気をつけてほしいのが、くしゃみをするときに『両肘を曲げて脇につける』『脇から肘を離さない』ことです。手を伸ばして重い荷物を持ったり、靴下をはくときに腰が痛くなった経験がある方も多いと思います。これは、腰を支点と考えたときに、腰から遠い場所に力が加わるほど、腰への負担が大きくなるからです。ですから、くしゃみをするときも手を伸ばさず、脇を締めておくことが大切なのです。肘を曲げ脇につけることで、脇にも支点ができ、くしゃみの衝撃が分散され、腰への負担を減らすことができます。
もしも、近くに壁や柱があれば肘を伸ばさずに手を添えてください。くしゃみでかかる衝撃を軽減することができますよ」
壁や柱に手を添えるときも、肘を伸ばさず、締めたままでいることが重要だ。では、下半身はどのようにすればよいのだろうか。
「膝を軽く曲げましょう。膝が伸びていると、くしゃみの衝撃が腰に響きます。軽く曲げることで、膝がクッションの役割を果たし、力を逃がしてくれます。
立っている場合でも、座っている場合でも『後頭部を1cm後ろ』『肘を脇につける』『肘を伸ばさない』『膝を軽く曲げる』。支えになるものがあれば、手を添えることが重要です」
街中では、体を反らし、反動をつけてくしゃみをしている人を見かけるが、そのくしゃみ姿勢に問題はないのだろうか。
「体の一カ所に大きな負担がかかり危険なのでやめてください。反動をつけてくしゃみをすると、腰だけでなく、首や肩などを痛めるリスクもあります。
また、大きな音を避けるために息を止めたり、鼻をつまんだ状態でくしゃみをすると、腹圧が高まり過ぎ、腰に大きな負担をかけるため危険です」
反動をつけ大きく振りかぶってくしゃみをすると、出し切った達成感が得られる気持ちはわかるが、首・肩・腰だけでなく、肋骨にまで過度な負担をかけるため、避けたほうがよさそうだ。
まだまだ花粉症のピークは続く。くしゃみの代償で、ぎっくり腰はあまりにつらい。脇を締め、肘を曲げ“小さく前ならえ”のようなくしゃみ姿勢で体を守ろう。
