■日焼け止めを塗るとビタミンDが生成されない
越智先生が続ける。
「新型コロナウイルスの重症化を抑えるといった感染症やがんなどの免疫を整える作用、心筋梗塞のリスクを下げる作用などが注目されていますが、もっとも知られているのが、ビタミンDが丈夫な骨をつくるのに欠かせない栄養素だということです。
ビタミンDは、カルシウムが小腸で吸収される際にサポートしたり、骨にカルシウムを取り込ませたりする作用があります。
また骨を溶かす『破骨細胞』の働きを抑えたり、しなやかな筋肉をつくったりすることも。ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症や骨折リスクが高まります」
50代以降は、骨密度が急速に減少していく。
骨の量が減る骨粗しょう症になると骨折しやすくなり、歩行困難や寝たきりを招くことも。骨の健康のためにも、日ごろからしっかりビタミンDを取ることが重要だ。
「ビタミンDは、太陽の光を浴びることでも生成されますが、現代は屋内での仕事が多いことに加え、シミやシワ、皮膚がんなどの原因となる紫外線のダメージを考えれば、日光で十分なビタミンを生成するのは極めて難しい。
意識的に日光に当たる習慣を取り入れるのはいいことですが、日焼け止めを塗ってしまうとビタミンDの生成が90%以上抑えられてしまいます。
日々の食事でビタミンDが多く含まれる食材をしっかり選んで摂取していくことが有効な手段です」(越智先生)
骨の健康を保つためにも、適度に日光を浴びながら、ビタミンDがたっぷりの食材を取っていくことが重要。
そこで注目されているのが、昨今、スーパーなどで見かけることが増えた「はなびらたけ」だ。
管理栄養士で野菜ソムリエ上級プロの岸村康代さんが語る。
「生のはなびらたけのビタミンD含有量はゼロですが、日光を当てると、含有量がグーンと増える特徴があります。
最近では紫外線を当てた生のはなびらたけも売られていますが、4時間ほど日光に当ててから調理すればビタミンDを豊富に取り入れられます。
腸内環境を整えるβグルカンなどの食物繊維も多く、またうま味成分のグルタミン酸も豊富でクセが少ないはなびらたけは、さまざまな料理に活用できます」
別途グラフを見てほしい。
ビタミンDの含有量がゼロだったはなびらたけが、日光(紫外線)に4時間当てるだけで100gあたり26マイクログラムに。
8時間では、ビタミンDが豊富なまいたけの2.4倍以上、ぶなしめじの約16倍の含有量に!
1日の目安量を超えるが、食事によるビタミンDの摂取では過剰摂取のリスクもほとんどないというから安心だ。
前出の越智先生が語る。
「ビタミンDは加熱しても大丈夫な脂溶性ビタミン。油と一緒に摂取すると吸収率が上がります。
健康寿命の延伸に不可欠なビタミンDを意識して体に取り入れることを心がけましょう」
そこで、はなびらたけを使った骨強化レシピを2品紹介する。“最強食材”を活用したビタミンDたっぷり生活で、いくつになっても歩ける体をつくろう!
画像ページ >【グラフあり】はなびらだけに紫外線を当てることでのビタミンD生成量の比較(他5枚)
