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「え、この掃除機、タダでもらえるの!?」。掃除機が突然壊れ、スマホで中古品を探していた記者の目は、ある写真にくぎ付けになった。掲載されていたのは、無料で使える広告掲示板「ジモティー」のアプリだ。

 

ここ数年、モノを手放したい人とモノがほしい人の需要を、ネット上でマッチングするサービスが続々登場。中でもジモティーは古株で、’11年にサービスを開始。現在、月間約750万人が利用している。

 

全国の地域ごとに個人の不用品情報が掲載され、出品物は家電製品から家具、おもちゃ、車までバラエティ豊か。無料の譲渡品が多く出品されている。ご近所同士の取引が基本のため、品物の受け渡しのほとんどが、手渡しで行われているのが特徴だ。

 

記者が目をつけた日立の中古掃除機には「汚れや傷があるが、動作は問題ない」と説明が。取引場所は、東京都渋谷区。ここならすぐ取りに行ける! 記者はすでに会員になっていたので、問い合わせフォームから送信するだけで出品者と連絡が取れる。

 

送信から10分後、出品者から取引OKのメッセージがあり、こちらの希望の受け取り日時や出品者の住所などの情報を交換して、受け取りの準備があっという間に完了。やり取りはすべてジモティーのアプリ上で行われるので、本名やメールアドレス、電話番号などの個人情報を公開する必要がない。

 

さて、品物の受け渡しの日、渋谷区某所を訪れる。今回の取引相手は、来月事務所を移転するという会社。一軒家に社名のプレートがかかっているのを確認し、ベルを鳴らす。「掃除機の引き取りの方ですね。お待ちしてました〜」と、スタッフAさんに笑顔で迎えられ、ひと安心。取引に慣れている様子だ。聞くと、ジモティー歴はすでに5年で、何回も不用品を出品したことがあるという。

 

「大型の家具や家電は廃棄する場合も有料なので、無料で引き取ってもらえるのは助かります。自宅まで取りに来ていただければ、運び出す手間もないので、うれしいですね。無料なら金銭のやり取りがないので、トラブルの心配も少ないですし」(Aさん)

 

これまで、家具、家電などさまざまなモノを無料で出品してきたが、モノによっては問い合わせが殺到したことも。

 

「とくに家電は人気です。引っ越しの際にガスコンロを出品したときは、数時間で20件以上の問い合わせがありました」(Aさん)

 

取引相手を選ぶのは出品者。Aさんは、最初の問い合わせメッセージで決めるという。

 

「受け取り方の詳細、たとえば『2人で車で行って引き取ります』など、具体的に書いてあると安心です。最後までスムーズに取引ができそうな人を選んでいるからか、今までトラブルに遭ったことはありません」(Aさん)

 

ジモティーの広報・宮本亮さんにも聞いてみた。

 

「ご相談の多いトラブルは、取引中に気が変わり、キャンセルというケースです。ご報告をいただき、問題のある利用者に利用制限を加えることもあります。自宅の住所を知られるのが心配な場合は、近所の公園などを引き渡し場所にできます」(宮本さん)

 

逆に、取引中のうれしいサプライズ“ついでもらい”に出合えることも。

 

「洗濯機を受け取りに行ったら『ついでにこれも』と、炊飯器までもらってきたというケースもありました。家電は無料出品が多いので、狙っている方はこまめにチェックしてみてください」(宮本さん)

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