昨年発表された厚生労働省の調査結果によると、日本人の平均寿命は女性が約87.14歳、男性が約80.98歳で過去最高を更新した。
だが、一方で、健康な日常生活を送れる期間を示す平均健康寿命は、女性が約75歳、男性が約72歳と、平均寿命より10年前後も短い。つまり、多くの高齢者が約10年もの間、医療や介護を必要としながら暮らしているのだ。
そういった背景もあり、近年では病気を未然に防ぐ予防医学が重要視されてきているが、なかでも「環境要素」という視点が注目を集めているという。これは簡単に言えば、温度や湿度、光、空気といった環境を構成するさまざまな要素のこと。これまで健康に影響を与えると考えられていた運動、食事、メンタルの3つの要素に付加された新しい要素で、「住環境」と密接に関係している。
実際、温度や空気といった住環境を適正に保つことにより健康寿命が延びることは、多くの研究や調査からも明らかになっているという。つまり、毎日多くの時間を過ごす住まいを安全・快適なものにすることが、結果的に健康長寿にもつながるというのだ。
長く健康でいるためには、体力の維持が不可欠。そのためには積極的に運動する習慣をつけて、体力の衰えを防ぐことが大事だ。家の中に体を動かせる仕組みをつくれば、家事のついでに運動できるので一石二鳥。そこで、日常的に家の中で“運動”を取り入れるためのポイントを紹介。
■物干しを2階にすればアンチエイジング効果が
年を取るにつれて減少する筋肉量。とくに下半身の筋肉が衰えるとエネルギー消費量も減り、日常の動作に支障が出てしまう。その防止のために効果的なのが、じつは階段の昇降なのだそう。洗濯機を1階に設置して2階のバルコニーに洗濯物を干す動線をつくるだけで、知らず知らずのうちに老化が防止できるというわけだ。
■早めの手すり設置でひざの痛みも未然に防げる
浴室やトイレ、階段はとくに転倒しやすい場所。すべりやすさだけでなく、狭い場所での立ち座りは想像以上にバランスを崩しやすい。50〜60代のうちは、まだ手すりなどの補助用品に心理的な抵抗があるかもしれないが、転倒の可能性は高齢者に限らない。手すりがあれば足腰への負担も軽減できるので、早めの設置が望ましい。
活動的に動ける家は元気の源。階段の上り下りを継続するだけでも、よい筋トレになるので、ぜひお試しあれ。