放っておけば、がんなどの重大な病気の原因になりかねない自律神経の低下。しかし、身近なペットには”癒し”以上のものすごい効果があるという。自律神経研究の第一人者、順天堂大学医学部の小林弘幸教授が、「ペットセラピー」について語ってくれた。

「いわゆるペットセラピーでは、ペットと触れ合うことで脳内からセロトニンなどの幸せホルモンが出るとされていますが、自律神経の観点から言うと、ペットの愛くるしさは副交感神経をアップさせる『ホワイトの刺激』にあたります。これは僕が名付けたのですが、ようするに”快い”刺激。動物がじゃれ合ったり、人間には予想もつかない動きを見せてくれると私たちはホワイトの刺激を受け、リラックスした気持ちになります」(小林先生)

そうすると、自然に呼吸が深く穏やかになる。ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経を刺激し、全身に血液が行きわたるようになるという。深呼吸をすると心が落ち着くというのは、末梢の血液量が増加するからだという

「反対に動物がいじめられていたり、痛そうにしているのは見ていてつらいでしょう。そうした”不快な”刺激は『ブラックの刺激』といい、心身を緊張状態に持っていきます。無意識に呼吸が止まってしまい、血流も悪くなってしまうのです」(小林先生)

あまりに緊張状態が続き、血流が悪くなると、手足が震え失神してしまうこともあるという。

「副交感神経を上げるためには『12』の呼吸がおすすめ。息を吸う長さの2倍の時間をかけて、息を吐くことです。3秒かけて吸ったら、6秒かけて吐きましょう」(小林先生)

また、可愛い動物を見ると思わず撫でたくなるが、それも手のひらから伝わる気持ちのよい触りごごちがホワイトの刺激となるからだという。

「ペットを飼っているのなら、撫でたり抱いたりしながら『12』の呼吸を行ってください。今まで以上にリラックス効果が高まり、副交感神経の機能が飛躍的にアップするでしょう」(小林先生)

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