預けていても、ほとんどお金が増えないのに手数料ばかり取られる。そんなあなたは、選ぶべき金融機関が間違っているのかも。じつは貯金が多い少ない、また住む地域やライフスタイルによって選ぶべき金融機関は異なってくる。
地方に住んでいる人の選択肢として真っ先にあがるのが、地元の銀行や信用金庫だ。まとまったお金を預けている人なら、家に職員が訪ねてくることもあるだろう。
「地域に密着した地銀や信用金庫は、今後も富裕層の顧客に対しては、親身に相談にのってくれるでしょう」
こう話すのは経済評論家の加谷珪一さん。だが、その経営状態は厳しいという。
「地銀は、20~30年後には半数になると予想されています。今後、地銀や信用組合の再編、統合の動きも加速していく。いまお金を預けている地銀や信金がなくなっても、サービスはほかの金融機関に引き継がれていくため、過度な心配は必要ありません。しかし、人口が減っている地域の店舗やATM(現金自動預払機)が削減され、不便になっていくことが懸念されます」(加谷さん)
できれば、“なくならない”ところを選びたいが……。
「選ぶべきは“体力のあるところ”です。金融機関の“体力”は、公表されている銀行の総資産に対して融資などの本業で得た業務利益の割合(総資産業務純益率)で評価できます」(加谷さん)
地方銀行の「純益率ワースト10」を見てみよう(’17年3月期のデータより作成。総資産、業務純益の単位は100万円)。
【1位】福島県「福島銀行」=総資産:761,280/業務純益:289/総資産業務純益率:0.04%
【2位】福井県「福邦銀行」=総資産:448,973/業務純益:351/総資産業務純益率:0.08%
【3位】岐阜県「十六銀行」=総資産:5,986,768/業務純益:5,583/総資産業務純益率:0.09%
【4位】福島県「大東銀行」=総資産:787,744/業務純益:819/総資産業務純益率:0.1%
【5位】島根県「島根銀行」=総資産:419,267/業務純益:494/総資産業務純益率:0.12%
【6位】兵庫県「但馬銀行」=総資産:1,034,035/業務純益:1,289/総資産業務純益率:0.12%
【7位】青森県「みちのく銀行」=総資産:2,134,314/業務純益:2,759/総資産業務純益率:0.13%
【8位】青森県「青森銀行」=総資産:2,892,442/業務純益:3,931/総資産業務純益率:0.14%
【9位】長崎県「長崎銀行」=総資産:273,033/業務純益:374/総資産業務純益率:0.14%
【10位】福島県「東邦銀行」=総資産:6,014,123/業務純益:8,937/総資産業務純益率:0.15%
体力のある銀行かどうかの目安は、純益率0.3%以上。しかし、0.3%を超えるのは、全地方銀行の4割ほどにすぎない。さらに、1.42%と純益率1位だったスルガ銀行(静岡県)は不適切な融資が発覚。不正があった場合は、どうにもならないのだ。
「統合などがあっても、その中心的存在になる金融機関の口座を持っていれば、混乱は少ないでしょう。統合の可能性を考え、メガバンクなどに資産を分散しておくのも得策です。また、ネットが使える人は、地銀のネットバンキングで店舗やATMがない不便さをカバーしましょう」(加谷さん)
では、地方に住んでいて貯金が少ない人はどうすればいいのか? 税理士の眞喜屋朱里さんは次のように語る。
「どんな小さな町でも郵便局がありますから、ゆうちょ銀行は、地方の人にとっても強い味方です。またネット専業銀行という選択肢も当然あります」