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年明けから食料品やトイレットペーパーなど生活必需品の値上げが止まらない。

 

「いつも買っていた食パンがある日突然20円も値上がりしていたので、びっくりしてしまいました。値段が高くなっても今まで食べ続けていた食パンを買い続けるのか、それとも値段が据え置きの安い食パンに替えるか、考え込んでしまいました」(50代・主婦)

 

このように今、家計を預かる主婦たちの頭を悩ませているのが、スーパーでの値上げラッシュ。

 

どの商品も平均で2~9%と値上がりの幅は大きく、家計へのダメージは計り知れない。

 

「これから、私たちの生活に関わる多くの商品の値段がじわじわと上がってきます。しかも、この値上げラッシュは今年で収まるどころか、数年にわたって続くことが考えられますので、今までどおりのお金の使い方をしていますと、家計がもたなくなってしまう恐れが出てきます。’22年は、抜本的な生活の見直しが必要になってくるでしょう」

 

そう警鐘を鳴らすのは、世界の経済事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。

 

値上げは生活必需品にとどまらず、光熱費や地下鉄などの運賃、民間保険の保険料にも及ぶという。

 

「これ以上切り詰めるなんて無理!」と嘆く人は多いと思うが、加谷さんは家計で見直すところはまだあると語る。

 

「これからも続く値上げは節約一辺倒では乗り切れないと思います。たとえば、家電や車などの高額商品は買い換えの時期をずらす、あるいはグレードを下げて安い商品を長く使うなどの工夫をするだけでも、かなりの節約につながります。車は維持費がかかりますので、出費を抑える必要の出てくる、夫が定年退職を迎えるタイミングで手放したほうがいいでしょう。いわゆる“シェアリングエコノミー”を活用して、車は保有するのではなく、カーシェアの利用をおすすめします」(加谷さん・以下同)

 

ネット上のサービスを使った物々交換や中古品の売買は当たり前になっているので、お得な情報を入手するためにも、ITは使いこなせるようにしたほうがいいという。

 

また、現役時代は通勤定期券を使っていたので交通費はあまり気にしなかった人が多いかもしれないが、リタイア後は、外出するたびに交通費がかかる。今後、公共交通機関の運賃の値上がりは必至なので、郊外での生活はリスク大。

 

「高齢になれば車の運転もできなくなりますし、徒歩でスーパーに出かけられる人とそうでない人では健康寿命にも差が出てきます。60歳を過ぎて再雇用で働くときにも、すべての仕事がリモートで完結するとは限らないので、郊外に住むのはデメリットになるケースも出てくるでしょう。駅近の中古マンションなどへの住み替えを視野に入れて、ミニマムな暮らしを目指しましょう」

 

年金収入で生活が成り立たないときは夫婦で働くことも想定して、家計の見直しをしよう。

 

【PROFILE】

加谷珪一

経済評論家。東北大学卒業後、日経BP社、投資ファンド運用会社を経て現職。『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』(幻冬舎新書)など多くの著書がある

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