■「もらえるお金」で新たな一歩を踏み出そう
このほかにも、雇用保険に加入していると、さまざまなお得な制度がある。
新しい仕事に就くために資格を取ろうとする人は、勉強しながらお金がもらえる「公共職業訓練」を受けよう。
3カ月から2年までの「離職者訓練」は無料。テキスト代などは自己負担だが、1日500円の受講手当と通所手当(交通費)が月額4万2500円までもらえる。
「一般教育訓練給付制度」は、失業している、働いているといったことに関係なく、指定された教育訓練の講座を修了すると、受講料の一部(20%に相当する額で10万円まで)を負担してもらえる。
「資格取得ではなく講座の修了が条件なので気軽に利用できますが、教育訓練修了証などを持参し、修了日の翌日から1カ月以内にハローワークで手続きが必要です。上限は10万円なので、費用が高い講座で利用したいところですが、もらえるのは受講修了後。いったん費用を立て替えることになるので、生活費などを考慮しながら、講座を決めるようにしましょう」
なお、再就職を果たすと、それまで受給していた「失業給付」はストップするが、給付日数が3分の1以上残っているなどの条件を満たすと、「再就職手当」がもらえる。
正社員ではなく、ハローワークの紹介でパートやアルバイトの仕事が見つかった人でも、給付日数が所定の3分の1以上かつ45日以上残っていると「就業手当」が受け取れる。
さらに、ハローワークで紹介された遠方の会社に面接などに出かける場合は、「広域求職活動費」として交通費や宿泊費が支給され、就職のために引っ越しが必要な場合は「移転費」ももらえる。
■仕事にかかわる「もらえるお金」一覧
【雇用保険の基本手当(失業給付)】問い合わせ先:ハローワーク
会社都合、自己都合で退職した後、ハローワークに行き、離職票と求職票とともに申請書を提出すると7日間の待期を経て(自己都合の場合はさらに2カ月待期)給付金がもらえる。1日あたりの支給額は、離職前6カ月の賃金の合計を180で割った「賃金日額」の50~80%。
【一般教育訓練給付制度】問い合わせ先:ハローワーク
失業中、就労中に関係なく指定の教育訓練の講座を修了すると、受講料の一部(20%に相当する額で10万円まで)を負担してもらえる。
【再就職手当】問い合わせ先:ハローワーク
失業給付を受け取っている間に再就職を果たした場合、受給予定だったお金を一定額受け取ることができる。所定給付日数の3分の1以上を残しているなどの要件がある。支給額は所定給付日額の支給残日数×給付率(原則10分の6)×基本手当日額(一定の上限あり)。
【就業手当】問い合わせ先:ハローワーク
失業給付を受ける日数が3分の1以上かつ45日以上残っていると、非正規でも働きながら就業手当(就業日数×基本手当日額の30%)がもらえる。ハローワークの紹介で就職した、1年を超えて勤務することが確実である、などの条件がある。
【公共職業訓練】問い合わせ先:ハローワーク
新しい仕事に就くため資格を取りたい人は、3カ月から2年までの「離職者訓練」を受けることができる。テキスト代などは自己負担だが、講習は無料。受講手当が1日500円、通所手当(交通費)が月額4万2500円までもらえる。
【広域求職活動費・移転費】問い合わせ先:ハローワーク
ハローワークの紹介でハローワークの管轄外の会社に面接などに出かける場合、「広域求職活動費」として交通費や宿泊費が支給される。就職のために移転するときは引っ越し代として移転費がもらえる。
【未払賃金立替払制度】問い合わせ先:労働基準監督署と労働者健康安全機構
会社が倒産して未払いの給料がある場合、届け出ることで、退職日の6カ月前から退職前日までに支払い期限のある未払い賃金がもらえる。労働基準監督署で認定を申請して「認定通知書」を交付してもらい、労働者健康安全機構へ立て替え払いの請求が必要。
ハローワークでは積極的に職探しをすると同時に、もらえるお金の制度を上手に活用しよう。
【PROFILE】
井戸美枝
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。最新刊の『「届け出」だけでもらえるお金・戻ってくるお金』(宝島社)をはじめ、監修、著書多数