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’20年春からの新型コロナの感染拡大は、私たちの生活に大きな打撃を与えたが、とりわけいくつかの業種にとっては死活問題となる影響が出た。

 

代表的なのが、飲食業や宿泊業、小売業など、比較的、女性が多く働く職場だ。これらの業種では、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」による外出自粛の影響が直撃。そこで働く人たちの多くが、倒産やリストラ、業績悪化による給料やボーナスの大幅カットなどの苦境に陥った。

 

だが、会社が倒産して退職金や未払いの給料が発生した場合でも、届け出をすることで補塡してもらえる制度があるので、泣き寝入りしてはいけない。

 

「未払賃金立替払制度」は、会社が倒産する6カ月前から、倒産後1年半の間に退職した人が利用できる制度。まずは、勤務地の労働基準監督署に相談しよう。立替え払いを請求できるのは、退職日の6カ月前から退職前日までに支払い期日がある未払い賃金で、ボーナスは対象外。未払い賃金は2年、退職金は5年が時効だ。

 

また、勤め先の倒産後、求職活動中の生活の不安を払拭してくれる制度もある。それが「雇用保険の基本手当(失業給付)」だ。

 

ただし、倒産やリストラといった会社都合で辞めた人は、雇用保険の加入期間が会社を辞める前の1年間に6カ月以上あることが条件。自己都合で退職した人は、雇用保険の加入期間が退職前の2年間で12カ月以上あること、といった条件がある。

 

「もう1つは、就職する意思があるのが条件です。勤めていた会社から退職時に受け取る離職票を持って公共職業安定所(ハローワーク)に行き、求職手続きをする必要があります。さらに、手続き後にすぐに失業給付がもらえるわけではありません。離職票の提出と求職の申し込みを行った日が『受給資格決定日』となり、それから7日間の『待期期間』を経て、失業給付が受け取れるようになっています」

 

そう話すのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。

 

会社都合で離職した人は、待期期間が終わった翌日に失業給付の支給が開始され、約1カ月後、指定した口座に入金される。自己都合で退職した人は、さらに2カ月の給付制限(待期期間)の後、口座に失業給付が入金される。

 

気になる給付金額だが、それも人によって異なる。

 

「もらえるお金は、年齢や雇用保険の加入期間、離職の理由が自己都合か、会社都合かによって違ってきます。具体的な1日あたりの給付額は、離職前6カ月の賃金の合計を180で割った『賃金日額』に給付率(50~80%)をかけて算出しますが、給付率は年齢や賃金日額によって異なります」(井戸さん・以下同)

 

たとえば離職前6カ月間の賃金合計が150万円で45歳以上、60歳未満の場合、1日あたりの支給額は5510円となる。

 

これに自分がもらえる給付日数をかけると、合計金額が確認できる。給付日数は年齢や雇用保険の加入期間、離職理由によって90~360日の間で求められるが、仮に勤続1年以上、10年未満の人が自己都合で退職したとすると、給付日数は「90日」となるので、〈5510円×90日=49万5900円〉が支給額の合計となる。

 

ちなみに一括で支給されるのではなく、原則4週間ごとに受け取る形になるので覚えておこう。

 

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