糖尿病、うつ病、子宮筋腫も対象 障害年金で80万円もらえることも
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■受給することをためらわないで!

 

申請するうえで気をつけたいことは主に3つ。まずは保険料を一定期間納付していることだ。

 

「いざというとき障害年金を申請しても未納があるともらえなくなってしまうこともあるので、滞納のないように気をつけましょう」

 

2つ目は、その病気によって日常生活に支障があるか否か。

 

「日常生活に支障があるというのはどの程度なのか、基準があります。誰かの介助が必要な状態でなくとも、労働に制限があったり、日常生活をすることに困難があった場合は該当する可能性が」

 

3つ目は、初診日を特定する必要があることだ。

 

「意外とこちらがハードルに感じることも。今から初診日までかなり遡る場合、初診日に通院していた病院が廃業していたり、主治医の先生が退職していることもあるからです」

 

たとえばうつ病などで長患いとなり、よい医師がいると聞いては転院を重ねるうちに、初診日が曖昧になってしまうのだという。しかしあの手この手で、初診日を特定できることは多いため諦めることはない、と漆原さんは説明する。

 

「当時の診察券やお薬手帳、障害者手帳などで特定・証明することができれば申請可能。受給に結びついたケースも多くあります」

 

ちなみに10年前から通院している場合でも遡れるのは5年まで。それでももらえる金額は大きい。

 

「障害基礎年金の場合は約400万円、障害厚生年金であれば700万円程度一括で(5年分)支給されたケースも。このくらいの金額は平均的で、受給資格を得られたなら、かなりまとまった額が保証されます。『経済的な不安から焦って無理をすることなく治療に専念できる』といって安心する方も多いです」

 

申請をするには、まず8種類ある診断書のなかから自分が該当するものを選択することから。

 

書面による審査のため記載項目が多く、添付書類も年金請求書・受診状況等証明書・医師の診断書・本人の申立書など多岐にわたるが、丁寧に進めれば自分で作成・申請することは十分可能だ。

 

「診断書は年金事務所などで受け取ることができ、日本年金機構のホームページからダウンロードも可能。ただし、対象にならないケースもありますし、迷われたら年金事務所や専門家に相談し、申請しましょう」

 

障害年金を申請することに抵抗感がある人もいるかもしれないが、漆原さんは、社会的なデメリットはほとんどないと話す。

 

「もらっていることを会社やお子さんの学校に申告する義務はありません。病気やけがは誰にでも起こりうるもの。無理なく生活するうえで、障害年金は安定と安心を得られる大切な保障です」

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