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「知り合いから年賀状が来ない。落ち込む自分に落ち込んだ」
「ステイホームで人と会えない日が続く」
「小さいときに大好きだったゲームを、自分の子どもが大好きになった」

 

一見SNS上での誰かのつぶやきに見えるが、これはすべてゲームのマスに書かれているエピソードの一例だ。

 

こんな心情の機微がゲームとなっているのが「人生100年ゲーム」だ。

 

東京・巣鴨にあるカフェで行われた、最新版の人生ゲーム「100年人生ゲーム」の体験会での様子をみると、

 

「こういう話、確かに近い話があったよね! 私の知り合いの娘の子どもの話に」
「昔、自分自身もこんな体験したことがある。懐かしいなあ」

 

参加した人は、マスに書いてあるエピソードと、今までの自分の体験とを重ね合わせながら駒を進めていた。

 

「思い出すこと自体が幸せな時間かもしれない」と、自分自身の経験を懐かしく思いながらゲームを楽しむ人も。

 

「人生ゲーム」といえば、誰もが知っている国民的ボードゲーム。ルーレットを回してマス目を進み、人生の様々なイベントを経て億万長者を目指すというもので、1968年9月に発売されて以来歴代79作品を発売し、時代の世相やトレンドを反映させながら常に話題性のあるゲームとして展開されてきた。

 

しかし、今回発売された「100年人生ゲーム」は、「お金」を稼ぐことがゴールではなく、「幸せ」のポイントを稼ぎながら、ゴールの100歳の誕生日を目指すという。新しい価値観を反映した人生ゲームが今、話題になっているのだ。

 

このゲームをタカラトミーとともに共同開発した「100年生活者研究所」副所長の田中卓さんはこう語る。

 

「巣鴨に研究所のカフェがあり、来店されたお客様から聞いた話にヒントをもらいつつ調査や研究を進めた結果を発信したり、ウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)な社会を作っていくための活動をしています。その中の1つが、この100年人生ゲームです」

 

100年人生ゲームは、ルーレットを回して幸福を点数化したウェルビーイングポイント(ウェルポ)を集め、“幸せな100年人生”を疑似体験するボードゲーム。 ゴールの100歳の誕生日までに、ウェルポを一番多く集めたプレイヤーの勝利となる。

 

研究所で行った働き方に関する意識調査では、「人生において大切なもの」で「仕事」は6番目という結果。

 

また、日本・アメリカ・中国・フィンランド・韓国・ドイツの6カ国で実施した調査では、日本のみ「生きたい年齢」が平均寿命より短い結果だったという。

 

「世界の各国の調査を見ても、実際には、年を取っていくと幸せに感じる人が多くなっていきます。それにも関わらず、日本人は年を取ることのネガティブな面だけを見て、前向きに捉えている人は少ないことがわかりました。それはどうなのだろうと考え、約1年半かけて開発しました。

 

マスに書かれたさまざまな体験談を知ることで、“自分の人生に起きるかもしれない幸せな体験”を考え、100年人生のポジティブな面に注目してもらうことが狙いです」(田中さん・以下同)

 

マスにあるエピソードは、カフェの来店者へのヒアリングや、別途行ったアンケートなど計1万人以上の生活者から集めた、実際の体験談に基づいている。なかでも、そのうちどれをゲームのエピソードとして選ぶかということが、最も難しかったと田中さんは話す。

 

「エピソードは、”大多数が共感できそう“もしくは“意見が割れそう”という2種類のバランスを取るようにしました。ゲームの中で“こういう幸せの感じ方もあるけどあなたはどう思う?”と話せる内容にすることで、“自分にとっての幸せを考えてもらいたいという思いからです。

 

また、100年人生をポジティブに捉えてもらうため、体験談の中にネガティブな話をどれくらい入れ込むか、という点に関してもその配分バランスに苦労しました」

 

中でも「知り合いから年賀状が来ない。落ち込む自分に落ち込んだ」というエピソードの反応がとてもよかったと、田中さんは語る。

 

「今どき、年賀状が来なくても落ち込む人もいるのだなと感じましたね。これに関しては全然わからない人と、すごくよく分かるという人で割れたところです。

 

また、60歳の人が“メイドカフェで若者と知り合い、いろんな人を応援する楽しさを知った”というエピソードへの反応も大きかったですね(笑)。

 

“幸せのポイントをこれで稼げるのか”という意見もありましたが、それを話しながら進める楽しみもあります」

 

さらに、エピソードが書かれたマスにはウェルポが紐づいているが、ポイント数については制作メンバーのなかでも意見が割れたという。

 

「たとえば、“自分が約束を破ってパートナーに怒られ、3カ月間口を聞いてくれない”というエピソードがあります。よく考えたらかなり深刻なエピソードですが、ポイントはマイナス1000ウェルポと非常に軽い設定(笑)。

 

これは体験の内容の重さと、付随するポイント数をあえて食い違うように設定することで、“こんなに不幸なのに、何でポイントが軽いんだよ”と盛り上がることを想定して、あえて低いポイントにしています」

 

しかし、そもそも幸せには人それぞれの基準があるので、それをポイント化することに無理があるのでは……という意見もあるかもしれないが、田中さんはこう考えている。

 

「確かに“人によって幸せの形はいろいろとあるのでは”といった意見もありますし、ゲームをしているなかで、エピソードについて参加者の意見が分かれることもありますが、そうやって対話が生まれることこそが大事だと思います。ゲームはあくまでそのきっかけになればいいんです。

 

たとえば、今50歳でも人生100年と考えると、残りはまだ50年近くもあるということ。さまざまな幸せの形を知ることで、“残りの長い人生をどう生きるか”のヒントにしてもらえればと思っています」

 

この年末年始は最新の人生ゲームで盛り上がりながら、2025年からの人生の過ごし方を考えてみてはいかがだろうか。

 

【「100年人生ゲーム」商品概要】

商品名:100年人生ゲーム
対象年齢:15歳以上
希望小売価格:3,960円(税込)
推奨プレイ人数:2~6名
発売日:2024年11月23日(土)
著作権表記:(C)1968,2023 Hasbro. All Rights Reserved.(C)TOMY
取り扱い場所:タカラトミー公式ショッピングサイト
※遊ぶ際に2023年4月発売の「人生ゲーム」が必要。商品単体では遊べない。

 

次ページ >【写真あり】東京・巣鴨で行われた体験会の様子

出典元:

WEB女性自身

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