image
(写真・神奈川新聞社)

重い心臓病と闘う大和市下鶴間の迫原(さこはら)大輝(だいき)ちゃん(1)の心臓移植手術が、米国の病院で成功した。術後数日は拒絶反応の心配が伴うが、経過は良好という。全国から3億円余りの寄付が集まり、発症からちょうど1年目にかなった「奇跡」(支援団体)だった。

 

支援団体「だいちゃんを救う会」(大和市つきみ野)によると、大輝ちゃんは12日、羽田空港から専用機で渡米。14日にコロンビア大学病院で移植待機リストに登録され、数時間後にドナーが見つかった。

 

翌15日に、10時間余りに及ぶ手術を受け、ほぼ1年にわたって装着していた自身の体より大きい補助人工心臓が取り外された。拒絶反応が起こりやすい移植後48時間は、無事に経過したという。闘病のステップは、最短で半年を要するリハビリに移る。

 

「大輝は新しい命をいただき、二つ目の誕生日を迎えることができました」。両親の慶治さん(42)と早紀さん(34)は救う会を通じ、米国から支援者に感謝の気持ちを寄せた。

 

手術成功からちょうど1年前の2015年7月15日、生後8カ月の大輝ちゃんは心機能が低下する拡張型心筋症に見舞われた。東京大学病院に入院し、生存は1~2年とされた。国内での延命は絶望的で渡米を決めたが、治療費や専用機のチャーター費として総額3億2千万円が必要となった。

 

慶治さんが勤める自動車メーカーの同僚らが北海道、栃木県、熊本県に救う会の支部を立ち上げ、全国約600カ所に募金箱が置かれた。プロバスケットボール選手だった早紀さんの古巣も協力し、スポーツ界や音楽業界も共鳴。今月15日までに3億48万円が集まった。

 

救う会共同代表の石井浩一さん(42)は「はるか遠い目標に悲観することもあったが、1年で目まぐるしく状況が好転していった。奇跡としか思えない」と喜ぶ。今後も医療費や滞在費を援助するため、募金を続ける。

 

支援や問い合わせは、救う会事務局・電話046(271)6010。

関連カテゴリー:
関連タグ: