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(写真・神奈川新聞社)

横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、同マンション管理組合は19日、同市緑区で建て替え決議集会を開き、全棟建て替えを決議した。来年4月にマンションの解体、建て替え工事が始まり、2020年11月までの再入居を目指す。建て替え費用は約300億円で、事業主の三井不動産レジデンシャルが負担する。

 

傾いた西棟を含む全4棟の建て替えに賛成したのは、専有面積の割合に応じた議決権の総数711に対し709、区分所有者総数635のうち633。反対は2人。賛成が全体の5分の4以上を占め、区分所有法で定める建て替え決議の要件を満たした。

 

この問題を巡っては、14年11月に住民が二つの棟をつなぐ廊下の手すりがずれていることを指摘。その後の調査で西棟のくい6本が強固な地盤に届いておらず、他2本も深さ不足だったことが判明。くいデータの改ざんも複数の棟で見つかるなど、施工不良が次々と明るみに出た。

 

市は今年8月、中規模地震が発生した場合、西棟の柱などが損傷する可能性があるとして建築基準法違反に認定、同社らに是正勧告を出している。

 

管理組合によると、マンションの半数以上の世帯は売却や一時退避のためにすでに転居した。住民の男性は会見で「住民が不具合を見つけてから2年。住民にとっては売るべきか、戻ってくるべきか、悩みを抱えて過ごしてきた。事業主はその痛みを知ってもらいたい」と訴えた。

 

同社は「売り主としての責任を果たすべく、住民の皆さまが一日でも早く安心して暮らしていただけるよう、誠心誠意対応する」とコメント。施工主の三井住友建設は「引き続き住民の皆さまの安全安心のために、真摯(しんし)に対応する」、くい打ち施工業者の旭化成建材は「居住者には多大なるご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる。建て替え決議についてコメントする立場にない」としている。

 

横浜市は「円滑な建て替えに向け、転居に伴う通学への対応や建て替え手続きなどが適切に行われるよう支援していく」とのコメントを出した。

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