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(写真・神奈川新聞社)

 

川崎市のヘイトスピーチ(差別扇動表現)対策を審議してきた市人権施策推進協議会(会長・阿部浩己神奈川大法科大学院教授)は27日、ヘイトスピーチによる人権侵害を未然に防ぐため、公共施設の利用を制限するガイドラインの策定を福田紀彦市長に提言した。報告を受けた同市長は任期中の来年11月18日までにガイドラインを策定し、公表する考えを表明。実現すればヘイトスピーチを事前に規制する全国初の施策となる。

 

報告書にはこのほか、ヘイトスピーチを含む人種差別など人権問題に幅広く対処する条例の制定と、差別書き込みの削除要請を行うインターネット対策も盛り込まれた。同市長は「重く受け止める。しっかり精査して取り組みにつなげていきたい」と前向きに応対。条例の制定については「差別と偏見のない社会の実現が大事。市民を巻き込み、一人一人の人権を大事にしていくということを幅広く議論していきたい。若干時間がかかってもオール川崎で議論していきたい」との方向性を示した。

 

ガイドラインは公園や市民館など公共施設の利用に関する各条例の解釈指針となるもの。ヘイトスピーチが行われることが具体的に明らかな場合、利用申請を不許可にすることができる。ヘイトスピーチの定義を明確にし、第三者機関を設けるなど手続きの厳格化と慎重な運用により、憲法で保障された表現の自由は保たれるとした。

 

同様に、事前規制の法的根拠となる条例も恣意(しい)的運用の歯止めとして不可欠なものと位置付けている。

 

前例のない事前規制の必要性について、阿部会長は川崎市がヘイトデモの現場となってきたことを踏まえ、「被害が甚大になって事後的に対処すればいいという類いのものではない。いま川崎市が踏み込まないと他の自治体に影響が出る。地域の実情に応じ、地域から全国の水準を上げていくべきだ」との見解を示した。

 

市内では在日コリアンを標的にしたヘイトデモが2013年5月から繰り返されてきた。今年5月、福田市長はデモ主催者の公園使用を認めない判断を全国で初めて下した。ヘイトスピーチ解消法の成立を受け同市長は7月、ヘイト対策は喫緊の課題として同協議会に優先的な審議を要請していた。

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