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(写真・神奈川新聞社)

 

横浜市磯子区の市立山王台小学校で2015年12月、落下した防煙シャッターに当時6年の女子児童(12)が挟まれて肋骨を折るなどの重傷を負った事故で、磯子署は1日、安全管理の徹底を怠ったなどとして、業務上過失傷害の疑いで、当時の男性副校長(59)と担任だった男性教諭(39)を書類送検した。

 

書類送検容疑は、同月1日午前10時15分ごろ、児童らが近くにいたにもかかわらず、男性教諭はシャッターが見えない不適切な場所で誤った開閉操作を行って女子児童にけがをさせ、副校長は全教員に安全対策を周知していなかった、としている。

 

同署によると、副校長は「シャッターの開閉は生徒がいない場所で行うなど校長から安全管理の徹底を指示されていたが、各職員に伝え切れていなかった」、男性教諭は「研修の時よりハンドルが重いと感じたがそのまま回してしまった」などと供述、容疑を認めている。

 

同署などによると、事故は避難訓練を終えた児童が教室に戻る途中の1階給食室横で発生。左右に2枚並んだシャッター(幅約3メートル、高さ約2.6メートル、重さ約186.5キロ)のうち左側だけが上がっていたため、右側も上げようと40代の女性技能職員がハンドルを操作していたが、男性教諭に交代。数回ハンドルを回したところでシャッターが落下した。上下させるワイヤが切れていたという。

 

男性教諭が操作したのは左側のシャッターのハンドルだった。シャッターは設置から36年間交換されていなかったが、同署の強度検証ではワイヤの劣化や強度の低下は見られなかった。同署は上がった状態でさらに負荷をかけたことでワイヤが切れたとみている。

 

また、当初ハンドルを操作していた女性技能職員について、同署は「ワイヤ破断時は操作しておらず、生徒を直接指導する立場でもなかった」としている。

 

■「現場 危機意識足りず」

 

事故は、教諭らがシャッターのハンドルを誤認識した上、児童らが近くにいる中で操作するミスが重なって発生した。横浜市教育委員会は「現場での危機意識が足りなかった」と説明する。

 

市教委によると、女性技能職員は避難訓練後、「早く児童らを教室に戻してあげたい」として、閉まっていたシャッターを上げようと誤ったハンドルを操作し、男性教諭に交代。2人は2014年12月に操作の研修を受けていたが、ハンドルの間違いに気付けなかった。

 

教諭が操作したとき、引率した児童33人を近くの廊下に待機させていた。シャッターが落下した際、教諭はすぐにシャッターと床の間に自ら体を入れ、挟まれた女子児童が自力で脱出したという。

 

市教委は15年12月下旬から16年3月末にかけて再発防止検討会を開催。防災施設付近に注意事項や操作方法を表示する▽年度当初に職員で操作方法などを確認する▽避難訓練の実施要領の作成と事前確認を徹底する-といった改善策をまとめ、市学校防災計画を改定した。

 

また、市立山王台小と同じタイプのシャッターがある市立学校279校で16年度までにワイヤを交換。人が通過するとシャッターが停止する装置も、17年度までに計352校で順次設置する。

 

同校を所管する南部学校教育事務所の出川進所長は「重篤な事故が発生し、職員が書類送検されたことを重く受け止めている。学校の安全管理について一層徹底していく」とコメントした。

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