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(写真・神奈川新聞社)

 

“労働被災者”になる前に相談を-。過労死で大切な人を失った家族らが25日、「神奈川過労死等を考える家族の会」を設立する。長時間勤務など過重労働に起因して命を落とすケースが後を絶たない中、当事者や家族の苦しみを共有し悲劇を繰り返さない社会を目指す。「突然命を奪われて立ちすくむ人たちの支えになりたい」。過労死した夫の公務災害認定まで5年半を要した工藤祥子さん(50)は、自身の経験に重ねて支え合う大切さを呼び掛ける。

 

熱血教師だった。工藤さんの夫・義男さんは2007年6月、修学旅行の引率から帰宅した直後に体調不良を訴え、くも膜下出血で10日後に死亡。当時40歳、4月に赴任した横浜市立中学校で生徒指導専任と学年主任を兼務する激務を抱えていた。

 

地方公務員災害補償基金(地公災)が公務災害と認定したのは、死亡から5年半後。祥子さんは08年に地公災県支部に申請したが、10年5月に「職務は通常の範囲内だった」などとされ不認定に。同7月に同支部審査会に不服を申し立て、高度の精神的・肉体的負荷と死亡との因果関係が認められた。

 

「過労と激務を立証するため夫が死に至るまでの日々をたどり、生前を思い出しては泣いた。夫を止められなかった自分を責め、どうしようもなかった」と振り返る祥子さん。公務災害認定のハードルの高さを目の当たりにし、同じ境遇の遺族らとさまざまな場で制度の改善を訴えてきた。

 

全国過労死を考える家族の会メンバーとして活動を続ける中で痛感したのは、県内の被害の深刻さだった。神奈川過労死対策弁護団によると、県内で過重労働に起因した精神障害の労災請求件数は年間120~130件で、認定件数とともに全国の約1割を占める高水準で推移している。一方、労災認定手続きの負担などを理由に泣き寝入りするケースも後を絶たないのが現状で、家族の会は突然の事態に備えるためのサポートにも取り組んでいる。

 

神奈川の家族の会は、首都圏では東京に次ぐ2カ所目で、全国14カ所目。25日に設立総会と「結成記念の集い」を横浜市中区で開き、工藤さんが代表に就く予定だ。今後は交流会や勉強会などで公的支援につなげるほか、シンポジウム開催などにも取り組んでいく。問い合わせは、神奈川総合法律事務所・電話045(222)4401。

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