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(写真・神奈川新聞社)

 

二宮町内の子どもたちが平和への願いを込めて作った折り鶴を、県立二宮高校(二宮町一色)の家庭科部の生徒14人が思いをつなぐように縫い合わせ、千羽鶴に仕立てている。毎年8月に、同町の平和のシンボル「ガラスのうさぎ像」に千羽鶴を飾る活動を続けている市民団体を支援し、平和の尊さをあらためて知るのが目的だ。市民団体メンバーの高齢化が進む現状もあり、その若い力はますます頼もしさを増している。

 

「ガラスのうさぎ像」は、児童文学作家の高木敏子さんが同町での自己の空襲体験を著した作品「ガラスのうさぎ」にちなみ、JR二宮駅南口に建てられている。

 

千羽鶴の飾り付けが始まったのは、建立30年の2010年。毎年10万羽を超える折り鶴が各地から寄せられ、町内有志でつくる市民団体「ガラスのうさぎを千羽鶴で飾りましょう実行委員会」がその取りまとめを担っている。

 

メンバーの高齢化が悩みの種だったが、同校家庭科部が昨年からサポート。3年前から取り組んでいる折り鶴作りだけでなく、町内の小中学校5校分を含めた約6千羽を縫い合わせている。同会代表世話人の吉成泰子さん(83)は「高齢化などで(千羽鶴を)束ねる担い手が足りない中、同校の申し出はありがたいし心強い」と感謝する。

 

今月4日に段ボール5箱分が届いたが、折り鶴の形はふぞろい。特に形が崩れているものはアイロンをかけて再度織り直すなど地道な作業が続く。それでも、同部3年生の幡谷優碧部長(17)は「きれいに飾られたらうれしいし、達成感もある。この作業があるから部員の絆もつながれている」と笑顔で汗を拭う。

 

小学生の時に作品を読んだという同じく3年生の平井恵海副部長(18)は「年配者たちが始めた作業を、若い世代が受け継ぐことが大事。この先も飾られていく千羽鶴を見ていきたい」と後輩たちにも思いを託している。同部の生徒らが仕立てた千羽鶴などは8月1日から15日まで、同像近くに飾られる予定。

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