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(写真・神奈川新聞)

 

県内の中学校で学内の総勤務時間が週60時間を超える教員が7割に上ることが28日、県教育委員会の調査で分かった。「過労死ライン」とされる月80時間の時間外労働に相当する水準で、中でも総括教諭・教諭では生徒指導に関わる業務だけで1日平均9時間以上と正規の勤務時間を超過。働き方の根本的な見直しを迫られる実態が浮き彫りとなった。

 

調査は昨年11月から12月にかけ、政令市を除く公立小学校60校、中学校30校を対象に実施。7日間の勤務状況を尋ね、2,225人から有効回答を得た。

 

学内総勤務時間が週60時間以上と答えたのは中学の総括教諭・教諭で72.7%、教頭は70.0%。小学校でもそれぞれ35.7%、63.4%に上り、100時間以上と回答した総括教諭・教諭も中学で1.3%、小学校で0.2%あった。

 

小中とも総括教諭・教諭は生徒に関する業務のみで1日平均9時間以上を割いており、中学では授業のほか授業準備や成績処理、部活動指導などで計9時間55分。このうち平日平均34分、休日で同2時間53分を部活動に費やしていた。教頭は小中とも事務作業や会議など学校運営に関わる業務だけで平均約8時間を数えた。

 

いずれも本来中心となる業務だけで正規の勤務時間である7時間45分を上回っており、総括教諭・教諭では、小中とも学校運営や外部対応などでさらに計約2時間、教頭は児童・生徒の指導で1時間以上、外部対応などで2時間以上が上積みされていた。

 

こうした事態を受け、県教委は教員の負担軽減や業務効率化を狙い、2018年度、政令市を除く市町村立中学校全175校にスクールカウンセラーを配置。小中5校をモデル校とし、学校経営アドバイザーを派遣するほか、市町村教委に対して部活動指導員の配置に関わる経費の一部を支援するとした。

 

一方、県立学校でも学内総勤務時間が週60時間以上の総括教諭・教諭が高校で30.3%、特別支援学校で4.9%、副校長・教頭はそれぞれ67.3%、66.7%に上ることが既に明らかになっており、県教委は17年度15校に配置した業務アシスタントを18年度から県立全172校に拡大する。

 

今後、学識経験者や市町村教委、学校長、PTA、職員団体などでつくる協議会を設置し、公立学校の働き方改革に関する抜本的な対策を検討するとしている。

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