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売り場に並ぶ、あちこーこーの島豆腐やゆし豆腐=18日、那覇市内

 

 

沖縄の日本復帰に伴う食品衛生法適用の例外として存続の危機をくぐり抜けた“あちこーこー(熱々)”の島豆腐が、再び正念場を迎えている。豆腐全体の需要減に加え、販売方法の変化や国際的な食品衛生管理基準の要請などから、水さらしして日持ちをよくした「パック豆腐」による流通が主流となっているためだ。

 

本土の木綿豆腐は水槽の中で冷やし、冷蔵庫に保管して出荷する。だが、沖縄の島豆腐は水にさらして冷やさず、温かいままでまな板に載せて裸売りするのが慣例だった。

 

1972年の復帰時、食品衛生法に基づき豆腐は水にさらして販売することが義務付けられた。しかし、業界が一丸となり、沖縄独特の食文化が維持できなくなることを当時の厚生省に陳情。島内の流通に限り、温かい豆腐を販売する方法が特例として認められた。

 

政府は東京五輪に向け食の安全を国際的にアピールする狙いから、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」の認証取得を国内の食品事業者に段階的に義務付ける方針を打ち出す。給食センターなど納入先からハサップ基準の衛生管理を求められ、昔ながらの製法を手掛けてきた小規模業者が、衛生管理の厳格化への対応を諦め、豆腐づくりをやめていくことも懸念される。

 

食品製造大手のまえさと(西原町)は2010年の豆腐工場移転に伴い、島豆腐の全自動製造ラインを県内で初導入した。豆腐を水さらしして機械でカットし、自動でパック詰めする。同社は「あちこーこーは年々減っており、現在はパック豆腐との売り上げ比で数%しかない」と説明する。

 

県豆腐油揚商工組合の久高将勝理事長は「パック詰めが主流になる流れにはあらがえないが、在来の大豆を使った商品開発など、あちこーこーの島豆腐の付加価値を高めていくのも継承の方法だ。衛生面に対応することでも、沖縄の食文化を残していく」と語った。

 

(与那嶺松一郎)

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