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(写真・琉球新報)

 

琉球大学教育学部研究科教授の上間陽子さんと社会活動家で法政大学教授の湯浅誠さんを招いた対論企画「タフな支援者になれますか-沖縄の子どもの貧困、私たちの課題」が17日、那覇市の沖縄大学アネックス共創館で開かれた。225人が詰め掛け、立ち見や別室のモニターで視聴する人もいるなど関心の高さをうかがわせた。

 

対論は子どもの貧困問題を解決するために必要な支援を考えようと、沖縄大学と琉球新報社が共同で主催、同大が取り組む土曜教養講座として開いた。

 

基調講演では上間さんと湯浅さんが「へこたれた体験」も含め、自らの支援への関わり方を紹介した。沖縄の風俗業界で働く女性たちを5年にわたり調査した上間さんは「話を聞くことが全て」と繰り返し、「支援も介入も一足飛びにはできない」と当事者が求めていることを理解する重要性を訴えた。

 

ホームレスの支援や貧困問題に携わってきた湯浅さんは「誰かのためという感覚はない。自分が『これはおかしい』と思うからやる」と自身の姿勢を説明し、「(支援者が)複数の居場所を持つことが精神の安定という意味でも重要だ」と長く続けるこつを挙げた。

 

対論では沖縄大地域研究所所長の島村聡さんが進行役を務め、支援者がどのような意識で対象者と向き合うべきか話し合った。自らの価値観だけで動かず客観的な視点を持つことが大事だという議論では、湯浅さんが「僕は『自分が学ぶ面白さ』が基本にある」と述べた。上間さんは、支援者といる時間が心地よいと思わせることが大切だと説き、「(届かないと思っていた)幸せを目指す欲望の萌芽(ほうが)につながる」と語った。

 

話題が学校での支援の在り方に及ぶと、フロアにいた教職員からも現場の葛藤が報告され、活発な意見が交わされた。

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