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本島全域に6割の水を送っている県民の水がめ福地ダム=13日、東村川田

 

【北部】米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが炎上した沖縄県東村高江の現場から、県内一の貯水量を誇る福地ダムの流域の境目(流域界)までわずか400メートルだった。本島全域の飲用可能な水(上水道)の約8割が本島北部のダムから送水されており、そのうち福地ダムからの送水は約6割を占める。ダム近くでヘリが炎上していた場合、福地ダムからの送水が停止していた恐れがある。北部はダムが集中する県民の「水がめ」とも言える場所だ。住民からは米軍ヘリの運用に不安の声が広がった。

 

国頭村の安波・辺野喜・普久川ダム、東村の新川ダムと福地ダムは北部5ダムとして雨水を取水・貯留している。5ダムの水は福地ダムから本島内の各浄水場へ送られ、生活用水として使われる。本島全域の上水道の1日の需要量は10月12日で42・9万トン、そのうちの6割に当たる26万トンが福地ダムから送水された。

 

福地ダム管理支所によると、ダムの流域界より内側で雨が降った場合、高低差から雨水はダムに貯留され外側の場合は海に流れる。流域界の内側でヘリが炎上していた場合、ヘリの残骸や汚染物質がそのまま雨水と共にダムに流れ込む可能性があった。

 

福地ダム管理支所の三田美修作支所長は「幸いにして流域界の外側だったが、内側だったら送水停止を検討しないといけなかった」と指摘した。不時着時、ヘリからわずか100メートルほどの豚舎にいた西銘清さん(87)は「故障したヘリがおりるとしたら、海岸かこの辺りの山の中。福地ダムに入り込んだら大きな問題になる」と話した。

 

北部5ダムのほか、名護市の羽地ダム、大宜味村の大保ダム、宜野座村の漢那ダム、金武町の金武ダムからも各浄水場へ送水されており、北部5ダムと合わせて北部9ダムで本島全域の1日(10月12日)の上水道需要量は82・1%を占める。

 

三田美支所長は「福地ダムで取水が停止した場合、本島全域の需要を他のダムや河川からまかなうのはかなり厳しい」と話した。

 

東村に加え、宜野座村や名護市など本島北部では米軍ヘリの訓練が増加傾向にある。県民の水がめが集中する本島北部での米軍の訓練で、本島全域の上水道もリスクにさらされている。

(阪口彩子)

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