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都市型戦闘訓練施設で実戦さながらの訓練を行う兵士ら=10月下旬、米バージニア州の海兵隊基礎訓練校

 

10月下旬、バージニア州クワンティコにある海兵隊の士官を対象にした基礎訓練校(TBS、The Basic School)で、都市型戦闘訓練施設(MOUT)での訓練の様子をフォーリンプレスセンターの招待で取材した。模擬の建物群が並ぶ「架空の街」で、対テロ戦などを見据えた突入訓練や市街戦の演習を行うものだ。沖縄のキャンプ・ハンセン演習場での都市型戦闘訓練施設でも同様の訓練が行われていると想定される。模擬弾とはいえ、リアルな実戦訓練が繰り広げられた。

 

■鍛え方は「鍛冶」

 

海兵隊は陸海空軍と違って独自の士官学校を持たず、士官は大学卒業が条件。同校には、全米から大学を卒業した20代の若者やさまざまな職種の出身者が集まり、年間約1700人を輩出しているという。広大な敷地には大学のキャンパスのような教室のある建物や宿舎もあり、座学と実戦訓練が6カ月間、行われる。

 

アフガニスタン駐留経験のある同校司令官クリンガン大佐は「海兵隊の教育は『鍛冶』のようなもの。鉄を熱して、たたいて、冷やして、たたく。タフな刀を造る」と胸を張る。

 

■民間人はプロ役者

 

キャンパスのような場所からバスに乗って約15分。原野の一角に模擬の建物群が現れた。肉屋や銀行、服屋を意味するアラビア文字。そして米大使館の看板。中東の街を再現したまるで映画のセットのようだ。

 

案内するイイダ大尉は「あくまで仮想のシナリオ」と話すが、この日の訓練は兵士に状況が知らされていない「敵に占拠された街」で、フィリピンのタガログ語を話す民間人から情報を収集し、爆薬や敵を見つけ掃討するかが目的。民間人役はプロの役者だという。完全なロールプレイの舞台で訓練が繰り広げられる。時折、上空を飛ぶドローンは、兵士の動きを評価するためのものだ。

 

■ライフルの先には

 

通訳兵が街を歩く民間人から情報を収集する中、兵士らは黒々と光るライフルを構え、建物をチェックしていく。民間人の「あそこだ」と言うような叫び声が上がると、突如爆発音と共に煙が上がる。パンパンパーンという発砲音、全て模擬弾とはいえ、緊張が走る。白い煙の中、負傷兵役が倒れている。

 

薄暗い建物の中に移動し、模擬弾が転がる階段を上ると、廊下の先に記者団側にライフルを向けた兵士が。建物内で敵を発見し、何度か激しい発砲音が響き渡った後、「任務完了」で訓練が終わった。

 

沖縄での駐留経験のある指導官のマトリー中佐は「海兵隊は戦闘だけでなく人道支援の任務が大きくなり、倫理的な枠組みも重要だ。入隊者の多くは『人を助けたい』という思いのある者だ」と笑顔で語った。耳をつんざく発砲音とその笑顔のギャップが、「軍隊」に対する米国の認識と、過重な基地負担を抱える沖縄との「溝」なのだと感じた。

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