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移動販売員の根間大輔さん(左端)。車内にはあちこーこーの島豆腐や揚げ、ジーマーミなど多彩な商品を満載する=沖縄市宮里

 

【西原】“あちこーこー”の島豆腐を満載したカラフルなワンボックスカーが、住宅街を駆け巡る。今年で創業35年目を迎える島豆腐製造の「池田食品」(西原町池田)。県内でも珍しい島豆腐の移動販売を3年半前から手掛けている。一丁一丁を直接消費者の下へ届けることで廃棄を減らし、赤字経営を脱却、職員の休みも確保した。3代目で代表の瑞慶覧宏至さん(34)は「人対人の商売に需要はある」と自信を見せる。

 

レトロ感のあるラッパ音とともに、ピンクの“島豆腐カー”が沖縄市宮里の住宅街に姿を現した。販売員の根間大輔さん(35)がなじみ客を迎える。毎週お母さんと豆腐を買い求める菊池勇吹(いぶき)君(7)は「どんなふうに食べてもおいしい」と笑顔を見せる。

 

池田食品は1983年、瑞慶覧さんの祖母・比屋根ヨシさん(87)が始めた豆腐屋が原点だ。その後は量販店への卸を開拓するなどして経営を拡大。今も大豆は国産、塩とにがりは県産にこだわる。

 

しかし、瑞慶覧さんが継いだ7年前は「ずっと赤字で、いつ倒産してもおかしくない状態だった」。量販店で温かい豆腐を常時提供するためには、一日3回ほど商品の入れ替えが必要で、売れ残りを毎日のように廃棄していた。多い年は年間で約1300万円分の廃棄が出たこともある。

 

「心を込めて作った豆腐を捨てたくない」と葛藤した瑞慶覧さん。2014年9月、消費者に直接商品を売ることで廃棄を減らそうと移動販売を始めた。17年からは大手量販店への卸をやめ、売り上げ全体の8割を移動販売が占めるように。売り上げは一気に落ち込んだが、長期視点で地道に固定客を増やした。

 

車1台から始めた新たな挑戦。今は8台の販売車が平日は毎日、本島中南部を駆ける。以前の年間売上高は9千万円台で推移していたが、18年3月期は約1億3千万円を見込む。収益も今期で黒字化する見通しだ。

 

休みの少ない量販店への卸先を減らして職員の休日を確保したり、食育活動に力を入れて島豆腐を普及したりと社内外でさまざまな改革に挑む瑞慶覧さん。「豆腐屋がかっこいいと思われるようになりたい」。自慢の島豆腐カーと共に、自ら信じた道を突き進む。

(長嶺真輝)