児童が避難した後、ごう音を響かせながら普天間第二小学校付近の上空を飛行するオスプレイ=17日午後、宜野湾市

【宜野湾】昨年12月、沖縄県の米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリCH53Eから窓が落下した宜野湾市新城の普天間第二小学校。その後、同校方面に米軍機の離陸が確認されると避難指示が出されるようになり、運動場からの児童の避難が頻繁に繰り返されている。避難回数は、運動場の使用を再開した今年2月から3月23日までに216回、新学期の始業式があった4月9日以降も既に146回(5月15日時点)に上る。監視カメラ設置などの対応は進むが、根本的な原因である米軍機の飛行状況は変わらず、憲法で保障された子どもたちの教育を受ける権利が侵害され続けている。

 

■空襲警報

 

17日午後2時40分ごろ。「逃げてください。逃げてください」。運動場に配置された監視員が拡声器でそう呼び掛けると、体育の授業で縄跳びをしていた児童約20人が走って校舎に避難した。中にはぶぜんとした表情の子も。その直後、校舎の上空付近を飛行する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイのごう音が運動場に響き、授業は2分近く中断された。

 

「空襲警報が鳴って避難するという、戦時中のような事態が起きている」。同日午前、宜野湾市議団に呼び掛けて普天間第二小の状況を視察した大城政利議長は眉をひそめる。「こんな状況は全国どこにもなく、あってはならない。議会としても安心して授業ができる環境づくりの方策を考えたい」と話した。

 

市教育委員会や沖縄防衛局はこれまでに、米軍機の飛行を確認できる監視カメラやテレビモニターの設置、監視員の配置などを進めてきた。屋根付きの避難用工作物については、夏休みをめどに運動場とプール、飼育小屋付近の4カ所に設置する予定で、今後は幼稚園への設置も検討している。

 

しかし、プールの授業は今月中にも始まる。保護者からは対応の遅さを指摘する声も聞かれる。今月9日、新城公民館で開かれた市議会の議会報告会に参加した保護者の男性は「これからプールや運動会もあるが、防衛局や市教委の対応が遅い。保護者に対する進捗(しんちょく)の説明もない」と不満をあらわにした。

 

市教委は保護者への情報提供について「PTAから要望があればその都度説明したい」とする。今後の避難用工作物の設置について防衛局は、取材に対し「学校、市教委、PTAの3者間での調整結果を踏まえ、適切に対応していく」と回答した。

 

■憲法第26条

 

窓の落下後、翁長雄志知事や佐喜真淳市長、市議会などが米軍機の飛行禁止や普天間飛行場の早期返還などを政府や米軍に求めたが、米軍は事故から6日後に同型機の飛行を再開。飛行ルートについては「最大限可能な限り市内の学校上空を避ける」としたが、その後に学校の真上を飛ぶ米軍機が確認され、日常的に学校上空周辺の飛行が続いている。児童が避難せざるを得ない根本的な原因の解決には程遠い状況だ。

 

普天間第二小の桃原修校長は、避難が相次ぐ現状に「子どもたちがかわいそうだ。早く安心して授業ができる日常を取り戻したい」と肩を落とす。子どもたちが当たり前に教育を受けられない状態に、関係者の懸念は強い。

 

憲法第26条では、第1項で教育を受ける権利を定め、第2項では教育を受けさせる義務について規定する。普天間第二小の現状に、識者は教育を受ける権利が侵害されていると指摘する。

 

県憲法普及協議会の高良鉄美会長(琉球大学法科大学院教授)は「国がなすべきことは学習権を行使できる教育環境をつくることだが、その基盤が抜け落ちている。米軍機の騒音で先生の声が聞こえなくなることもあり、人権侵害の問題だ。憲法が適用されていない」と批判する。その上で「普天間飛行場を運用するという政策で学習権を我慢させることはできない。普天間飛行場の閉鎖も含め、日本政府はどう権利を保障するかを考えなければならない」と指摘した。
(長嶺真輝)

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