横浜市が市立中学校で希望者に提供する配達弁当「ハマ弁」の利用が低迷している。市は本年度から値下げに踏み切ったが、4月の喫食率(暫定値)はわずか1・7%にとどまった。スタートから間もなく2年。本年度の目標として掲げる「10%」には程遠く、多額の市税が投入され続けているのが実情だ。市はアピールに躍起だが、保護者からは使い勝手の悪さを指摘する声も上がる。本格的な解決策は見いだせず、市の模索は続く。
ハマ弁を提供する計145校で23日、横浜DeNAベイスターズの名物「青星寮カレー」が振る舞われた。人気メニューが奏功し、この日の喫食率は3・3%。市立栗田谷中学校(神奈川区)では「選手と同じ物を食べられ、夢みたい」と評判は上々だった。
ただ、普段の利用は鈍い。理由として指摘されるのが使い勝手の悪さだ。注文は最短で7日前まで、キャンセルも2日前までにしなければならない。市教育委員会は食材発注に時間がかかり、食品ロスの防止も理由に挙げるが、中学2年の子どもを持つ40代の女性は「いつ弁当を作れないかはそんなに前からは分からない。当日朝に申し込めたら良いのに」とぼやく。
ハマ弁は共働き世帯の増加など生活スタイルの変化を受けて、2016年7月に市内12校で導入。17年1月には全市へ拡大した。
市教委健康教育課によると、給食も含めた学校昼食の在り方を検討したところ、設備やコスト面などでハマ弁が最善と判断。「家庭で作る弁当、民間事業者のパンや弁当、そしてハマ弁と、個人が自由に選べる環境を提供した」という。
喫食率向上につなげようと市は本年度、値下げを実施。ご飯とおかず、汁物、牛乳のセットは1食当たり470円から340円とした。“新規顧客”となり得る1年生の取り込みにも力を注ぎ、2月に行われた各校の入学説明会には市教委職員が出向き、ハマ弁をPR。5月上旬には1年生の利用者を対象に、最大600円分のポイントを還元する「ポイントバック」キャンペーンも展開した。
給食導入と比べれば予算規模は小さくなるが、対象校が限られた16年度のハマ弁運営費は3億192万円。購入数4万7825食で割ると、1食当たり6313円の市税が投入されたことになる。全校が対象となった17年度はそれぞれ4億7千万円、17万7786食となり、1食当たり2644円の計算だ。
市教委は喫食率の目標として「18年度10%」「20年度20%」を掲げるが、4月の喫食率は3月の1・3%から微増にとどまった。林文子市長は今月23日の定例会見で、本格普及まで時間はかかるとの認識を示した上で、「良い物なのでぜひ広めたい」と強調。同課も「注文方法や温かいおかずの提供に対する要望は多い。具体的な検討を積み重ね、喫食率向上に努めたい」としている。