(写真・神奈川新聞)

小田原、箱根と静岡県三島、函南の2市2町にまたがる箱根八里を中心とした「旅人たちの足跡残る悠久の石畳道-箱根八里で辿(たど)る遥(はる)かな江戸の旅路」が、日本遺産に選ばれた。石畳や杉並木など江戸時代の街道の歴史的遺産が残り、往時の雰囲気を味わえるのが特色だ。より多くの観光客を呼び込むきっかけになればと、関係者の期待は膨らんでいる。

 

箱根町などによると、箱根八里は、小田原宿から箱根宿を経て三島宿(三島市)に至るまでの約32キロの道のり。日本橋(東京都中央区)から三条大橋(京都市)までの旧東海道(約500キロ)の一部に当たる。

 

箱根八里はとりわけ難所とされ、往来を支えるため石畳が敷かれた。西国大名やオランダ商館長、朝鮮通信使など多くの旅人が通ったとされる。

 

今回の認定は、箱根八里沿いなどにある、ゆかりの文化財群で構成。小田原城跡や「小田原かまぼこ通り」、箱根旧街道、箱根甘酒茶屋、箱根関所跡なども含まれる。

 

認定に向けては、2016年9月に、2市2町や民間などでつくる「箱根八里街道観光推進協議会」が発足。交通の利便性向上へ社会実験をしたり、インターネットでPRしたりと活性化に取り組んできた。認定によるブランド化で、さらなる観光客増の期待も高まる。

 

有志約20人でつくる箱根観光ガイド協会は、08年4月の設立以来、箱根旧街道の歴史紹介や魅力発信などに努めてきた。若林宏光会長(64)は「非常にうれしい」と声を弾ませ「認定され、これから観光客はさらに増える。後進の育成や、ポイ捨ての防止など環境保全にも努めていかなければ」と意気込む。

 

小田原城跡を拠点に小田原市内の案内役を担うNPO法人「小田原ガイド協会」の堀池衡太郎会長(72)も「非常にありがたい」と歓迎する。約90人の会員が年間80回の街中ガイドや、史跡案内を中心としたガイドを展開しており、9月下旬には旧東海道を巡る企画もある。同会長は「問い合わせは増えるだろうから、知らないでは済まされない。一段とガイドのスキルを上げていく必要がある」と表情を引き締めた。

 

一方、加藤憲一市長は「城下町や宿場町としての多様な歴史、文化、魅力を改めて発信する契機と捉える」とコメント。箱根町の山口昇士町長は「2市2町が力を合わせながら、多くの人に愛される地域づくりに取り組む」との談話を発表した。