人、自然、文化 次世代に伝えたい

 

映画、ドラマ、CMなど多方面で活躍している県出身の女優・比嘉愛未さん。12年前、「一花咲かすまでは沖縄に戻らない」と誓い上京した比嘉さんはチャンスをつかみ、今なお進化を続ける。その原動力となり、自身を支えているのは沖縄や家族からの愛情だという。故郷への色あせない思い、未来に残したい沖縄について聞いた。

 

◇沖縄の色はあせない。生かすのは私たちの責任

 

沖縄を離れて12年になりますが、帰るたび、観光地としての需要も増えて沖縄はどんどんパワーアップしているなと感じます。

 

昔から貿易の国で、ウエルカムな精神があるからこそ、2000年ごろからの「沖縄ブーム」に終わらせない力があるのではないでしょうか。
それでいて、沖縄には私が好きな自然の力も強く残っている。これはどちらにも偏り過ぎてはだめだと思うんです。
100年後の沖縄。きっと私はいないでしょうが、想像することはできます。あの海の青さや空の青さ、ハイビスカスの赤。沖縄の色はあせない。
それを生かせるかどうかは私たちの責任でもあるし、それをこれからの世代につないでいく、伝えていかないといけない気がしています。

 

◇充実感と反省の繰り返し。気がつけば仕事が好きに

 

うるま市出身です。子どもの頃は短髪に半袖半ズボンで、いつも走り回っていて男子とサッカーやドッジボールをして遊んだり、木に登ったりと、アクティブな子でした。あの頃は、まさか自分が今の仕事をしているとは夢にも思っていませんでした。

 

夢はたくさんありました。まず最初がパン屋さん。映画「魔女の宅急便」に影響されたのがきっかけです。その流れでケーキ屋さんになりたいと思ったこともあったし、母親の仕事の関係で看護師にも興味があったし、学校の先生、保育士にも憧れていました。その時々の出来事や会った人に影響されて変わっていましたね。

 

モデルになったきっかけは、通っていた塾講師からの一言です。身長が170センチ近くあり高い方だったこともあって「モデルに興味ない?」と声を掛けられたんです。

 

最初は正直「私がモデルなんて」と思っていました。でも、興味が湧いて母に相談したところ、「学業優先にするならいいよ」と言ってくれました。

 

社会勉強の気持ちで始めてみたら、これが難しい。まだ高校生でしたが、大人のカメラマンさんやライターさんに囲まれて、責任感を初めて抱きました。

 

うまくできた充実感と、うまくいかないときの反省の繰り返し。でも気付けば、違う自分になれるような感覚が楽しくて、仕事が好きになっていました。

 

◇今動かないと絶対後悔する。人生を切り開いた第一歩

ちょうど楽しさを覚えたタイミングで女優としての仕事にも出会いました。それが蒼井優さん主演の映画「ニライカナイからの手紙」(2005年)です。

 

2週間、竹富島で撮影したんですけど、NGを出したり迷惑をかけてしまったりと、そこでいまだに忘れられない挫折を経験しました。うまくいかず、自分に負けた気がしたんです。

 

撮影が終わっても、その気持ちがずっと残っていて、沖縄を出て東京でもっと仕事にチャレンジしようと決心がつきました。今動かないと絶対後悔するという思いが自分を押していたんですよね。自分で人生を切り開いた第一歩があの瞬間でした。

 

上京して、アルバイトをしながらチャンスをうかがっていた中で、その時が来たのが朝ドラ(ヒロインを務めた2007年NHK朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」)でした。あの朝ドラが決まってなかったら、きっと沖縄に帰っていたと思います。

 

いろんな仕事をさせていただいて感じるやりがいは、人との出会いが多いことです。だからこそ毎日が緊張するし、ワクワクもドキドキもする。役との出会いもそうです。

 

小さい頃の夢が、疑似体験ですけど演技を通して全部できるんですよ。看護師にも、学校の先生にも、パティシエにもなれた。夢がかなえられる素敵な仕事だなと、気付けば夢中になっています。

 

◇今でも沖縄の自然が恋しくなる。帰ったらまず最初に深呼吸

 

沖縄で生まれ育って、自然に囲まれて海が見えるのが普通の生活だったので、今でも自然が恋しくなるんですよ。

 

沖縄に帰った時、まず那覇空港に着いて最初にするのは深呼吸です。空気が違うんですよ。

 

沖縄出身であることは、何より名前に一番表れていますよね。「比嘉」って沖縄で一番多い名字じゃないですか。それに、親が付けてくれた「愛未」っていう名前が私はすごく好きです。

 

「未来永劫、愛し愛される子に育ってほしい」という思いが込められていると聞いたとき、子どもながらにとてもうれしかったですね。「比嘉愛未」という名前は、沖縄と親の愛情を背負っている感じがします。

 

だから、沖縄の風が少しでも多くの人に伝われと思いつつ、日々の表現に少しでもエッセンスとして入ればいいなと思います。年に何回かは沖縄に帰っていますが、家族孝行は大事にしています。

 

二十代はがむしゃらでした。主演をやりたい、舞台に立ちたい、映画をやりたい—。そう思いながらひたむきにやっていたら、そういうチャンスにも恵まれました。

 

これからも一瞬一瞬を大事に、ある意味で原点に戻るような謙虚な気持ちでやっていけば、素敵な仕事や人に出会えるかと思います。どんどん楽しんでやっていくと、きっとこれからの人生、あっという間だと思います。

 

●比嘉愛未(ひが・まなみ)
女優。1986年6月14日生まれ、うるま市出身。2007年NHK朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」でヒロインに抜擢。6月30日よりNHKでスタートする「バカボンのパパよりバカなパパ」に出演。

 

100年後に伝えたい夢がある―。琉球新報社は5月25日正午から、沖縄県那覇市泉崎に新本社ビルが落成したのを記念して、県内外で活躍する県出身アーティストやお笑い芸人に「100年後に残す“夢”」を語ってもらうラジオ公開放送を新本社ビルで行う。ラジオ沖縄の「ティーサージ・パラダイス」と、エフエム沖縄の「ゴールデンアワー」の人気2番組によるコラボ放送という初の試み。

 

出演は両番組の司会の真栄平仁さんと西向幸三さん、糸数美樹さんはもちろん、ゲストにかりゆし58の前川真悟さんと新屋行裕さん、リップサービスの金城晋也さんと榎森耕助さんのほか、スペシャルゲストとして女優の比嘉愛未さんも登場する。それぞれの100年後の未来を展望する。

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