家族で沖縄を再訪し、寄付に感謝する(左から)母の李詩縁さん、沖縄で生まれた鄭竣鴻ちゃん、父の鄭吉倫さん=3日午前、那覇市泉崎の琉球新報社 画像を見る

 

台湾人の両親が新婚旅行で訪れた沖縄で、884グラムの早産で生まれた鄭竣鴻(チェンチュンホン)ちゃん(2)が両親と共に沖縄を再訪し、元気な姿を見せている。保険が適用されない出産で分娩(ぶんべん)や入院費は合計800万円を超え、大きな負担を背負ったが、県民らから集まった支援金約2100万円から充てることができた。両親は「どれだけ感謝しても感謝しきれない。皆さんの温かい気持ちのおかげで家族で生活できている」と県民に感謝の言葉を繰り返した。

 

台湾南部の高雄市で暮らす鄭吉倫(チルン)さん(25)、李詩縁(リーシヤン)さん(22)が新婚旅行で沖縄を訪れたのは2017年3月29日。妊娠7カ月だった詩縁さんは翌30日午前4時ごろに破水し、那覇市の沖縄協同病院に緊急搬送された。そこで、赤ちゃんの体重が1500グラム以下と推定されたため、南部で唯一未熟児の特別医療措置が受けられる南部医療センター・こども医療センターに再搬送されて出産した。両親は離島や北部地域から病児や家族を受け入れる「がじゅまるの家」に宿泊していた。

 

金銭的に大きな負担を背負わざるを得ない状況になったが、県内在住の台湾出身者でつくる琉球華僑総会や台北駐日経済文化代表処那覇分処などが協力、本紙の報道などで多くの県民に支援の輪が広がった。支援金の余剰分約1130万円は県へ寄付した。沖縄を訪れた外国人観光客の医療費関連の支援につなげるなど、行政も動かした。

 

竣鴻ちゃんは3月30日に2歳の誕生日を迎え、身長85センチ、体重12キロに成長した。「元気だけど、元気すぎる」と吉倫さんが語るほど、名刺を耳に当てて「もしもし」と言ったり、芝生の上を走り回ったり、やんちゃ盛りだ。

 

出産によりお預けとなった沖縄での新婚旅行。今回の旅ではお世話になった人に感謝して回った後に少しだけ3人で沖縄観光を楽しむ予定だという。詩縁さんは「日本に留学して医者になってほしい」と語りながら、「健康が第一」と竣鴻ちゃんを抱きしめた。

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