沖縄では毎年、3月~5月の週末、お墓の前で親戚が集まり、ごちそうを食べるピクニックのような光景が見られる。これは旧暦3月に行われる祖先供養の行事「清明祭(シーミー)」。先祖崇拝の文化を持つ沖縄県民にとって大事な行事だ。このシーミーをするのに米軍の許可が必要な人たちがいる。
■「墓を返して」
宜野湾市の米軍普天間飛行場内に先祖の墓がある住民らが14日、米軍から許可を得て清明祭(シーミー)のため飛行場内に立ち入った。市大謝名から3世代12人で訪れた主婦の比嘉和子さん(70)は「1年に1回しか来られないお墓に(亡くなった時に)入りたくない。とにかく(土地を)返してほしい」と訴えた。
米軍は住民らへ年に一度、立ち入りを許可。市によると、422人が立ち入りを届け出た。時折雨が降る中、住民らは1年間で生えた雑草を刈るなどして墓を清めた。ブルーシートを広げてオードブルや果物を墓に供え、祖先への感謝と家族の健康を願い、手を合わせた。シロツメクサが広がる芝生で子どもが走り回る姿もあった。
■返還合意から23年…フェンスなくならず
那覇市出身で47年前に大謝名へ嫁いだ比嘉さんは、墓に自由に出入りできないことに驚いた。「世界のどこにこんな所があるのか」と憤る。飛行場の返還合意がされた23年前の清明祭の時、墓で眠るしゅうとめに「よかったね。フェンスなくなるってよ」と報告。だがフェンスはいまだなくならず、外来機の飛来や夜間飛行など負担は増している。
代替施設として名護市辺野古に新基地建設が進んでいるが、負担が辺野古に移るだけだと感じている。「私たちと同じ思いをさせたくない。基地はないほうがいい」と思いを強くした。
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