再開発で巨大ビルの脇にたたずむ「仲島の大石」=4日、那覇市泉崎 画像を見る

 

那覇市泉崎のバスターミナル近くにある神秘的な大岩は何なのか。「再開発のおかげ?で説明板が見えなくなっている」との情報が本紙に寄せられた。旭橋駅周辺地区再開発事業でバスターミナルや商業施設、県立図書館が入る複合施設に隣接し県民や観光客など人通りが多い場所にそびえる大岩。情報の真相を追った。

 

岩はゆいレール旭橋駅から、沖縄らしからぬ都会的な建物「カフーナ旭橋A街区」に向かう途中、左手に見える。反対側には東京で県出身学生の教育に尽力し、那覇市の名誉市民となっている石川正通氏の歌碑が設置されている。

 

■都会の一角に

 

一見したところ「説明板」らしきものは探せない。近くでおにぎりをほおばる女性たちに聞いても「分からない。岩が何か知らない」という。ただ、岩と施設の塀に挟まれ、薄暗く、植え込みで容易に近寄れない場所に目をやると、石板らしきものが見えた。植え込みから近寄ると「説明板」があった。大岩は「仲島の大石(なかしまのウフシィ)」だと判明した。

 

「県指定史跡、天然記念物」と記され、高さ6メートル、中央部の周囲約25メートルの琉球石灰岩で岩の下部は波に浸食されていて周辺が海岸だったことを示しているという。久米村の人たちは「文筆峰」と呼び「風水にかかる縁起のよい大石として珍重していた」などと、日本語と英語で書かれている。

 

アコウなどの木々が生え、神聖な雰囲気に包まれており、最近はインターネットなどを通して「パワースポット」としても認知されているという。

 

■なぜ隠れた?

 

板の設置は1990年。なぜ隠すように設置されているのか。那覇市に問い合わせると、再開発前は「通り沿いで見やすい位置にあった」(担当者)。再開発で塀が設置され「裏側」になったという。市にも問い合わせがあり、旭橋都市再開発と調整し説明板を見やすい場所に移すか、新設するか検討していたが…。

 

「説明板ができている」。情報提供から約3週間後の24日、急転直下の情報が入った。記者が現場を確認すると木板が取り付けられていた。市文化財課によると21日に設置したという。

 

市は説明板の新設を決定しており、完成まで数カ月の「仮設」措置という。説明板を手作りした同課の長嶺盛孝さんは「設置から30年経過するので、文言も見直したい」と語る。隠れたことでより神秘性が高まったかもしれない仲島の大石。どんな説明文が加わるかも期待される。 (仲村良太)

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