那覇市内で街宣活動を繰り返す男性ら 画像を見る

 

「沖縄が中国の一部になる」。沖縄県那覇市役所前などで、中国への差別や憎悪をあおりかねない街宣活動を繰り返す男性がいる。新型コロナウイルスの感染拡大以降、さらに主張が過激化しているとして、市民らが20日、市役所前などに集まり「ヘイトスピーチだ」と男性に抗議した。

 

那覇市に住む投資業、久我信太郎さん(68)は「打倒 習近平」と書かれたのぼりを立て、市役所前などで街宣活動を繰り返している。

 

「シーサー平和運動センター」と称するツイッターでも情報を発信する。街宣活動は毎週水曜日。メガホンを片手に「沖縄が中国に侵略される」などと、中国への敵対心をあおる主張を繰り返している。新型コロナの感染が広がった3月ごろからは、ウイルスを「武漢ウイルス」と呼び、「ウイルスはチャイナ共産党のうそと捏造(ねつぞう)のせいで広まった」などと発言し、さらに過激化させている。

 

こうした現状を受け、フリーライターの高野俊一さん(57)らがツイッターで「ヘイト街宣を許すな」などと呼び掛けた。抗議の市民ら約20人が20日、那覇市役所前に集まった。市民らは同日午後3時半ごろ、衝突を避けるために那覇市おもろまちで街宣活動をしていた久我さんのもとに移動し、「ヘイトスピーチをやめろ」と抗議した。反論する久我さんと小競り合いになり、一時パトカー2台が出動する騒ぎになった。

 

久我さんは琉球新報の取材に「チャイナの危険性を訴えているだけでヘイトスピーチではない」と主張した。

 

ただ、街宣の内容の真偽について根拠を示すことはなく、情報源については「ユーチューブやネット、海外のニュースサイトで見た」などと話した。

 

高野さんは「街宣の内容のほとんどがデマだ」と指摘し、「暴力的なあおりはないが、内容の中にひどいヘイトが交じっている。『マイルドヘイト』ともいえる内容でより悪質だ」と訴えた。

 

県は県議会2月定例会で「不当な差別的言動は許されるものではない。ヘイトスピーチ解消に取り組んでいく」と答えている。玉城デニー知事は今月15日の定例記者会見で、ヘイトスピーチの規制に関する県独自の条例の必要性について問われ、他府県にどのような先例があるか検証が必要だとの考えを示した。一方で「全ての差別は許されない」と述べた。

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