新型コロナウイルス感染拡大に伴う休業要請や緊急事態宣言の解除を受け、沖縄県内の映画館や娯楽施設などが営業再開する中、4月23日から臨時休業していた那覇市の首里劇場も営業を再開している。金城政則館長(65)は「休館中に前を通り過ぎる常連客を見て、やるせない思いだった。どんな時でも娯楽は必要だ」と述べ、創業約70年と長い歴史を持つ同劇場の再開をアピールする。
営業再開に当たり首里劇場では、入り口に消毒液を設置し来館者にマスクの着用を呼び掛けるなど、感染症対策を徹底する。金城館長は「座席は200席あるが客は1日15人程度で密集しない。建物が古く隙間風が通り抜け密閉ではなく、接客もしないので密接でもない」と説明する。年季の入った館内設備やサービスを逆手に取り、万全の3密対策だと笑顔で強調する。
金城館長によると、長期休業は先代で父の田真(でんしん)さんから劇場を引き継いで以来、初めて。現在、上映作品は成人映画が中心で、戦後の全盛期と比べ客足は激減したが、年配客や職場、家庭などに息詰まった人のよりどころになっている。常連客の60代男性は「外出自粛で退屈だった。安価で楽しめる劇場は少ない。娯楽がなくなると困る」と営業再開を喜んだ。
スクリーンに再び灯をともし、常連客との再会を楽しむ金城館長。「いつかは音楽ライブや演劇で劇場をにぎやかにしたい。笑いとエロは世界を救う。コロナに負けず心も体も盛り上げよう」と拳を握る。
(高辻浩之)
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