ケージから出て、周囲を警戒しながら1歩ずつ前へ進むヤンバルクイナ=26日、国頭村安田 画像を見る

 

【国頭】環境省やんばる自然保護官事務所とNPO法人どうぶつたちの病院沖縄は26日、人工飼育した絶滅危惧種のヤンバルクイナ4羽を、卵を保護した国頭村安田の農地で放鳥した。4羽は周囲を警戒しながら、やんばるの森に向けて1歩ずつ進んでいった。

 

4月11日、農地内で草刈りをしていた徳田泰二郎さんが五つの卵を確認した。作業を中止し、親鳥が戻ってくるのを待ったが現れなかった。卵は保護され、四つがふ化した。ひなは自然環境に近い大型のケージ内で飼育され、餌はミミズやバッタなどを与えられた。

 

体長は約30センチ、体重約400グラム、羽毛が生え替わったタイミングで放鳥した。やんばる自然保護官事務所の伊藤勇三上席自然保護官は「人工飼育したヤンバルクイナを一度に4羽も放すのは例がないかもしれない」と語った。飼育を担当した玉那覇彰子さん(35)は「ちゃんと周囲を警戒しているようで良かった。自分の力で生きていってほしい」と笑顔だった。

 

昨年は32件、今年は既に9件のロードキル(交通事故死)が起きている。伊藤さんは「やんばるの道を走るときは、生物がいることを意識して」と呼び掛けた。

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