対象者から直接検体を受け取る玉城デニー知事(中央)ら=25日、沖縄市の中部合同庁舎 画像を見る

 

新型コロナウイルスに感染した在沖米軍関係者の数は25日で229人に上った。基地従業員らを対象にしたPCR検査は想定を上回る人数が列をなし、基地内の爆発的な感染者数の増加に、県民の間にも感染拡大への不安が広がっている。県保健医療部は基地内の情報収集に苦慮するなど対策に課題を抱える。

 

25日午前11時半ごろ、基地従業員を対象にした検査を行う沖縄市の臨時検体採取センターに、玉城デニー知事が姿を見せた。県や医師会の担当者の説明に耳を傾け、実際に問診を受けるなど検査手順を確認した。検体の提出場所では、自ら感染防止用ガウンとフェイスシールドに身を包み、複数の対象者から直接検体を受け取った。

 

視察を終えた玉城知事は「緊張感をもって物事に取り組むことが大事だ。(対象者の)表情を見ると不安がひしひしと伝わる。県庁内で共有したい」と危機感を強調した。

 

初日の25日は628人が検査を受けた。最終日の26日も同じペースなら、約900人と想定していた検査人数を超えることになる。日本政府の雇用ではない米軍との契約業者からも不安の声が届き、県が検査対象に含めるよう調整したため膨らんだとみられる。関係者によると、県は26日も約1千人分の検査キットを用意して対応する。

 

県は15日に海軍病院や海兵隊と実務者会議を開き、感染症対応で連携していくことを確認した。その席で県は検査総数などの提供を要望し、米側の了承を得たと強調していた。だが25日現在、検査総数や日付が県側に知らされておらず、米軍関係者の陽性率を割り出すことができていない。

 

そのため、新規感染者数が急激に増加した日があっても、県として「要因を推し量ることは難しい」(大城玲子県保健医療部長)。複数日の検査結果をまとめて県に伝えているのか、一度の検査で数十人が陽性となったのかどうかが特定できないためだ。県はこれらの数字を正確に提供するよう求め続けている。

 

24日は在日米海兵隊がフェイスブック上で沖縄の海兵隊で41人もの感染者が確認されたと発表したが、県はその情報を把握できていなかった。県が25日に発表した米軍からの報告数に、1日遅れでその人数は盛り込まれた。

 

大城保健医療部長は「(県は)海軍病院から情報を受けており、海兵隊全体が出している数字と合っているのかは照合のしようがない」と語った。

 

実務者会議について県と米軍の双方が協力体制の構築につながる場だと誇示していたが、米軍関係の感染者数の増加が止まらない中で連携の実効性が問われている。
(明真南斗、下地美夏子、比嘉璃子)

【関連画像】

関連カテゴリー: