画像を見る

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、県内各地の豊年祭や民俗芸能などの伝統行事が、今年は少なくとも274件で通常開催が見送られていることが本紙調査で分かった。内訳は中止93件、規模縮小181件。9つの国指定重要無形民俗文化財は「伊江島の村踊」が中止、7件が規模縮小、1件が未定となった。1945年の沖縄戦前後以来初の中止となった伝統行事も多く、関係者から「地域の活性化がさらに厳しくなる」など懸念の声が上がっている。

 

本紙が各市町村や自治会などに例年夏から秋にかけて開かれる伝統行事について聞き取り調査をしたところ、292件の開催状況が判明した。通常開催が見送られた伝統行事のうち、約6割が少人数による拝所での「拝み(うがん)」のみなど縮小することを決定。伝統行事の核となる、平和や安全を祈願する拝みは半数以上の地域で途切れることなく続けられそうだ。

 

国指定重要無形民俗文化財のうち規模を縮小して開催するのは、多良間の豊年祭(八月踊り)、安田のシヌグ、西表島の節祭、塩屋湾のウンガミ、小浜島の結願祭、竹富島の種子取祭、与那国島の祭事の芸能など7つ。1件は未定となっている。

 

そのほか、北部で76件、中部で61件、南部で81件、本島周辺離島で14件、宮古島地域で3件、八重山地域で39件の伝統行事が中止、または縮小になった。実施の方向で検討しているのは12件、通常通り開催するか未定の伝統行事は6件となっている。

 

新型コロナウイルスの感染が拡大したことなどを受け、県内外から多人数が集まる豊年祭など伝統行事の通常開催は難しいとみられていた。

 

各地域の今年の豊年祭の多くは、旧暦の8月8日に当たる9月26日に開催される予定だったが、自治会の多くは感染予防対策を講じた上での協議のほか、回覧文書やメール、電話などを通し、通常開催を見送る決定をした。

 

一方、大勢の人を集めず、区内でドラの音や掛け声などを放送して「ウマチー綱引き」を実施した八重瀬町志多伯自治会など、少人数で伝統行事を実施した自治会もあった。

 

本紙が調査した伝統行事の定義は、豊年祭や大綱引きなどの「風俗慣習」と、村踊りや獅子舞などの「民俗芸能」の2種類。本紙記者が市町村や各自治会などに開催状況について調査した。固定電話がないなどの理由で確認できていない自治会などもあり、通常通りの開催が見送られた伝統行事はさらに膨らむ可能性もある。(松堂秀樹)

【関連画像】

関連カテゴリー: