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国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)は10日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界自然遺産に登録するよう勧告した。7月16~31日に開かれるユネスコ世界遺産委員会で世界遺産一覧表記載の可否を決定するが、通常は勧告通り認められる。数多くの希少な固有種が生息する琉球弧の生物多様性の保全の必要性が認められた。

 

登録されると白神山地(青森、秋田)、屋久島(鹿児島)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京)に続く国内5件目となる。

 

登録へ日本政府が推薦した区域は、沖縄県の本島北部と西表島、鹿児島県の奄美大島と徳之島の4島にまたがる陸域の計約4万3千ヘクタールで大部分が森林。かつて大陸とつながっていたこの地域は海面上昇で島となり、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギなど多くの固有種がそれぞれの島で独自の進化を遂げた。これらの保全の必要性が重視された。

 

2018年に、政府が推薦した区域は飛び地状で、生態系の連続性を維持するため地域を再考することなどを盛り込んで延期が勧告された。政府は沖縄本島では米軍北部訓練場の返還地、西表島では河川の流域などを区域に追加して推薦書を再提出した。これらの区域拡大で、面積は前回より全体で約4800ヘクタール拡大された。

 

勧告では「指摘事項」としてこれらの修正を「努力を称賛する」と評価。今後に向けて(1)特に西表島で観光客数の上限を設けるか、減少させるための措置(2)希少種の交通事故死を減らすための交通管理(3)自然再生のための河川再生戦略(4)緩衝地帯の森林伐採の適切な管理―を要請した。またその対応状況について22年12月1日までにユネスコに提出してIUCNの評価を受けるよう要請した。

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