米国が新型コロナウイルス関連の経済対策として米国市民を対象に支給している1400ドル(約15万円)の小切手が、米国の年金を受給している県内の高齢者にも誤って送付されていることが30日、分かった。年金など日米間の社会保障に詳しい海外年金相談センターの市川俊治代表は「(受け取った)かなりの方が誤送であったと思う」と指摘しており、誤送の場合は換金すると返還請求や年金が減額される可能性もあるとして、返送するよう呼び掛けている。
小切手は「コロナ禍の生活支援金(EIP)」とされ、日本の国税庁に相当する米国内国歳入庁(IRS)が一定収入以下の米国市民のほか、米国外に住む米国籍者や永住権保持者を対象に支給している。沖縄にいても米軍関係者や米国籍者は正当に受け取れる。
一方、IRSのウェブサイトには「非居住外国人」は支給対象外と明記されており、基本的に県民など日本国民は受け取れない。米国の年金を受給していたとしても受給対象外だ。だが、本来対象外にもかかわらず、米国の年金受給額が「一定年収以下」で支給対象とみなされた県内高齢者に小切手が送られたとみられる。
日本人への米国の年金は、日本企業の駐在員など米国内で勤務歴がある人が受け取っている。県内では5月上旬までに、米国の年金を受給する高齢者に封筒に入った小切手が届き始めた。IRSは早期の支給を優先したと思われ、今回送付された人の多くが誤送とみられる。小切手のほかには説明文もなかったが、その後、バイデン大統領のサイン付きで、コロナ禍の経済支援金との説明文が届いたという。 (仲村良太)
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