【石垣】石垣市議会(平良秀之議長)は28日の最終本会議で、市自治基本条例の一部を改正する条例案を与党の賛成多数(賛成10、反対8)で原案通り可決した。2人は退席した。条例では、有権者の4分の1以上の署名で市長に対して住民投票の実施を請求でき、請求に対して「市長は所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければいけない」と規定。これらの住民投票に関する条文は削除されることになった。
改正案は、市政与党会派ONEの友寄永三氏が提出。提案理由を「条例制定から11年がたち、その間にさまざまな批判や疑問が出ている」と説明した。住民投票については地方自治法を根拠に実施できるとした。
改正内容は、(1)条文中の「市民」の定義を石垣市内に住所を有する者とすること(2)市民による住民投票の請求など住民投票に関する条文(第27、28条)の全削除(3)自治基本条例を「市政運営の最高規範」とする規定の削除―の3点。29日に公布予定で、即日施行される。
28日の議会は、改正案に反対する野党会派が友寄氏の提案方法に疑義があるなどとして、再三、休憩を要求するなど紛糾した。
市自治基本条例は5年以内ごとに市民の意見を踏まえて条例を見直すことも規定されている。これを受け設置された審議会は3月に中山義隆石垣市長に答申し、市も条例改正に向けた手続きを進めていた最中だった。採決では、一部与党議員らが「市執行部が改正案を提案する方が望ましい」として退席する場面もあった。
議会後に報道陣の取材に応じた中山市長は「改正案は答申内容に沿っていると思うので特に問題はない。再議は考えていない」との認識を示した。
市平得大俣への陸上自衛隊配備計画について「市住民投票を求める会」は条例を根拠に市民の署名を集め、住民投票実施を請求したが実現に至らず、現在、市と係争中となっている。
条例を巡っては、2019年に与党の自民会派が「二元代表制の円滑な運用には必ずしも有用な条例ではない」などとして条例を廃止する条例案を議会に提出したが、否決された経緯がある。審議会では、条例の廃止も含めて検討を求める意見も上がっていた。