image

「コーチのことを信じ続けてきて本当によかった」と競技後のインタビューで語ったのは、競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルに輝いた金藤理絵(27)だ。

 

09年、20歳で日本記録をマークした金藤だが、翌年、腰のヘルニアを発症後に低迷。4年前のロンドン五輪では代表落ちを喫した。長い不調を克服しての金メダル。スパルタで知られる加藤健志コーチ(50)と二人三脚で歩んだ10年間は、コーチの妻・愛さん(40)と3人の子供たちが共に支えた日々でもあった――。

 

「金メダルが決まった瞬間、私といちばん上の子はもう号泣でしたね」と語るのは、愛さん。ブラジルにこそ足を運ばなかったが、金藤さんの所属企業が作成した映像にこんなメッセージを寄せて応援した。

 

「10年間、主人を信じてついて来てくれて、ありがとう。私としては主人をリオに連れて行ってくれたことだけでも、すごく充分なので、メダルとかは意識しなくていいから、オリンピックを楽しんで」

 

彼女が辛い思いをしていたことを知っているからこそ、金メダルは我がことのように嬉しい、と話す。

 

「前のロンドン五輪はまさかの落選だったので。あのときは地獄のようでした。選考会の応援に行った帰りの電車の中で私もボロボロ泣きながら、主人にも金藤さんにも声をかけられなかったんです。試合が終わった後、会場で応援団に理絵ちゃんが申し訳なさそうに頭を下げているのを見て、本当に辛かった。主人も自分のせいだと落ち込んで、コーチをやめようかと言うほど、ずいぶん悩んでいました」

 

精神的にもボロボロになった2人を慰め、遠くから見守るように支えたのが、愛さんと3人の子どもたち。金藤もまた練習に励み、記録も徐々に上向きはじめた。

 

「2年前、パンパシフィック水泳で彼女は2位でしたが、子どもたちと手作りのお祝いメッセージで励ましました。『りえちゃん、準優勝おめでとう!』って。理絵ちゃんもすごく喜んでました」

 

そう言うと、一枚の写真を見せてくれた。ピンクのハートマークの切り抜きが貼られたボードを持つ笑顔の金藤。負けてもほめて、金藤が再び前を向けるように励ましたメッセージ付きのハートは、金メダルのように輝いていた。

 

「理絵ちゃんは優しいんです。遠征先から家族全員に名前入りのキーホルダーを買ってきてくれたり、彼女の慰労なのにご馳走してくれたり」

 

リオが終わったら引退すると話していた金藤。文字どおり有終の美を飾った。

 

「主人は『このキツイ練習は一生で最後だよ』と言ってゲキを飛ばしていました。でもなかなかタイムが出せず、それがいちばん辛かったようです。金メダルのあと、『あのときあきらめなくてよかったね』と主人にメールしました」

 

愛さんの次女は、夏休みの宿題の作文に『オリンピックに行きたい』と書いたという。金藤の金メダルは、子どもたちの未来を照らす光にもなった――。

関連カテゴリー:
関連タグ: