池江璃花子選手公表した白血病 10代患者は7割回復の時代に
(写真:アフロ)

2月12日に日本競泳界のエースである池江璃花子選手(18)が白血病を告白して1週間経つ。だが日本医科大学付属病院血液内科の猪口孝一教授は、昔“不治の病”だった白血病も克服できる時代になっていると語る。

 

「白血病を急性、慢性で大きく2種類で分けると治療法がかなり違います。急性の場合、いくつかの抗がん剤を併用して治療を行い、寛解に導きます。高齢者だと5~6割、幼少世代だと8~9割以上寛解する場合もあるのです」

 

白血病患者全体の5年生存率は近年では約10%も上昇。芸能界では渡辺謙(59)や吉井怜(36)、スポーツ界ではサッカーJ2の早川史哉選手(25)らが白血病を克服し、社会復帰を果たしている。AIクリニックの飯塚聡介副院長は白血病の最新治療についてこう解説する。

 

「症例によって治療法や治療期間も異なります。飲み薬で治るものから抗がん剤治療、骨髄移植が必要なものもあります。飛躍的な治療薬の開発はまだまだこれからですが、抗がん剤がかなり効くようになりました。最近は予後不良といわれていたFLT3変異に対する薬もあり、今後が期待されています」

 

猪口教授も、治療は少しずつ進歩していると賛同する。

 

「治療法の進歩はおもに2つ。まず、抗がん剤の選択肢が増えたこと。分子標的療法が加わり、昔より薬剤の種類が増えているので、より患者さんに合った最適な抗がん剤が選べるようになりました。もうひとつは移植技術の進歩。大きく分けて骨髄移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植の3つあるのですが、症例によって選べるので予後成績がよくなりました。骨髄バンクを通してドナーの選択肢も増えています。さらに移植治療方法も改善されたので、移植によって命を落とす人が確実に少なくなっています」

 

池江選手は18歳。15歳から30歳前後の患者は“AYA世代”と呼ばれている。“若いと進行が早く生存率が低い”と思われがちだが、堀部敬三医師は2月13日の『読売新聞』で《10歳代後半の白血病は抗がん剤を組み合わせた治療などで7割が完治する》と語っている。

 

「白血病治療は高齢者の場合、強い抗がん剤を使えないこともありますが、若い人は選択肢が多い。なので、若い人のほうが治りやすいと言えます」(飯塚医師)

 

とはいえ、若いAYA世代にとって白血病治療は精神的な負担が大きいのも実情だ。治療が生殖機能に及ぼす影響や、思春期という多感な時期に病気に罹患することによるさまざまな精神的ストレス、将来への不安などがあげられる。

 

だが、前出の飯塚医師は若い女性が白血病になったとしても将来の妊娠・出産をあきらめる必要はまったくないと語る。

 

「抗がん剤治療によって、不妊に陥るケースも確かにあります。男性の場合は精子保存、女性の場合はパートナーがいれば受精卵を、受精卵でなくても採卵して卵子凍結する方法もあります」

 

次男が小児がんの神経芽腫を発症した経験から「NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ」を立ち上げた井上富美子理事長にAYA世代へのメンタルケアについて聞いた。

 

「まず、ご家族が病気に関する知識を持つこと。疑問は専門医にどんどん質問しましょう。本人以外の家族が冷静になって正確な知識を得ることが重要なんです。また、ご家族が元気だと本人も明るくなり、逆に暗い表情をしていると患者さんにそれが伝わってしまいます。いまは子どもでもネットで病気の情報を簡単に知れる時代。本当のことを包み隠さず本人に話した上で『一緒に乗り越えていこう』と支えてあげることが、患者さんの強い力になるはずです」

 

白血病を克服して、元気になった池江選手との笑顔の再会を日本中が心待ちにしている――。

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