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「結弦は元気にしているようですよ。ただもともとよく風邪をひいたりしていて、体が強いコではないから、コロナ禍のいまは相当気を付けていると思います」

 

羽生結弦(26)の近況を、こう話すのはフィギュアスケートコーチの山田真実さん(47)。山田さんは、4歳から小学2年生まで羽生を指導。羽生にとってフィギュア人生“最初の師”だ。

 

山田さんはいまでも「彼のお母さんとたまに、世間話のように連絡をとることがある」という。来年2月の北京五輪や目標に掲げている前人未到の4回転半ジャンプについて、羽生の母から話を聞いていないのかと記者が問うと、

 

「連絡をとるときはそういう話には触れないようにしているんです。プレッシャーになったらいけませんし、周りがとやかく言うものでもありませんから」

 

そう言って、羽生を気遣う。

 

山田さんには、羽生が話したことで忘れられない言葉がある。五輪2連覇を達成した平昌五輪後の’19年に、北海道で山田さんが指導するスケート教室を、羽生が訪問したときのことだ。教室の子供たちに向けて話したその言葉に“重み”を感じたという。

 

「“なぜいま現役選手を続けているのか”という話になったとき『“勝てる”ってまだ思う。だから続けてる』って言ったんです。

 

テレビカメラも回っていない場で子供たちに向けて真剣な表情で本人がそう口にしたときに、私はもう鳥肌が立ちました。“うわ〜っ、やっぱり世界のトップって、オリンピックチャンピオンって、こういうことなんだ”って。到底、私たちは口にできない言葉です。世界が違うというか。すごく感動したし、涙も出そうになりましたね」

 

思い出しながら語るその声も感動で震えているようだった。

 

山田さんは「私はこんなことに巡り合えて、すごく幸せだなと思うんです」と羽生がもたらしてくれた感動に感謝する一方、「彼はスケートのためにいろいろなものを犠牲にしている」と心配もする。

 

「やっぱりあそこまでになると、自由に外にも出られないですよね。ごくたまにですが連絡する機会があるときに“こういうことがあって”と話を聞いたりすることもあって。大変なんだろうなぁって。普通に私たちでもいやになることがあって、投げ出したいことが出てくるじゃないですか。結弦の場合も練習が思うようにいかないこともあるだろうし、さらに注目されているぶん、それに応えなきゃっていう私たちには計り知れない重圧もあると思います」

 

そんななかで、北京五輪が近づく羽生へメッセージを贈る。

 

「北京では3連覇を期待されて、私も期待してしまうけれど、無理だけはしないでほしいです。もう親みたいな気持ちです。心配で心配で。とにかくケガなく、いい状態で行ってもらいたい。どんな結果でも、みんな応援しているよ、1人じゃないよと伝えたいです」

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