貧困問題のシリーズ人間に関する話題
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山谷でけんちん汁店営む老夫婦 故郷を失った人の帰る場所に
2020/11/16 11:00「田舎に帰ったらお袋にしわしわの手でお金を渡されて、もう帰ってくるなって……」1杯のけんちん汁をすすりながら、涙をこぼす客。うなずき、話を聞くけんちん汁店「大倉屋」の店主・石橋新平さん(84)・ヒロ子さん(83)は、変わりゆく山谷の町を見続け、労働者たちの切ない身の上に耳を傾けてきた。大倉屋のけんちん汁は、もとはヒロ子さんの故郷の味。栄養たっぷりの優しい味だ。帰れないふるさとを思いながら味わう野菜 -
山谷のけんちん汁店 84歳の店主が見た日雇い労働者の町の盛衰
2020/11/16 11:00午前4時半。夜も明けきらぬ仄暗い路地裏に、小気味よい包丁の音が響く。薄く開いたシャッターの隙間からは音とともに、厨房のほのかな明かりと湯気が店外に漏れ出ていた。ここは、けんちん汁の専門店「大倉屋」。なかでは、狭い厨房で高齢の男女が、開店の準備に忙しない。にんじんや大根、ごぼうなど、切ったばかりの野菜を大きな鍋で勢いよく炒めていたのは、店主の石橋新平さん(84)だ。「だしを入れて煮込む前にね、たっぷ -
“あしなが”設立の玉井会長「早世した妻が背中を押してくれた」
2020/09/14 11:00あなた、助けて。そう言い残し、29歳で逝った最愛の妻の死を無駄にしたくない。その一心で、災害や病死、あらゆる理由で親に先立たれた子どもを救うべく立ち上がった「あしなが育英会」の玉井義臣(よしおみ)会長(85)。大切な人が奪われる痛みを知っているからこそ、人の心に寄り添える。このコロナ禍でも、40億円もの財源不足があったにもかかわらず、奨学生に1人15万円の支援を実現したのだ。玉井さんが遺児への支援 -
あしなが・玉井会長「必ず守る」コロナ苦の学生に10億円支給
2020/09/14 11:00「私は、どんなことがあっても、今、進学に困っている遺児たちを、諦めさせるようなことなく頑張っていく。ちゃんと(学校に)行かせる自信があるので、安心して勉強なり、お母さんの手伝いなり、やってください。私は長年の経験で、必ず君たちを守るから」4月17日午後、「あしなが育英会」の玉井義臣(よしおみ)会長(85)は、全国の奨学生にそう呼びかけた。遺児一人一人に語りかける玉井さんの声は温かく、頼もしかった。 -
コロナ生活苦、援交し妊娠した高校生も 助産師語る悲惨な現状
2020/07/06 11:00「コロナのために、バイトを辞めさせられました。それで、お金もなくなっちゃって……」女性から送られてきたメッセージは、こんな一文で始まっていた。それは、今年4月、兵庫県神戸市の「一般社団法人 小さないのちのドア」に届いたLINE。差出人はまだ10代、高校生だ。遊ぶためのお金欲しさではなく、家計を支えるためのアルバイトだった。それが、今年2月。新型コロナウイルス感染拡大の影響で退職を余儀なくされてしま -
「助産師として私が救う」16万超の中絶される命を守る決意
2020/07/06 11:00思いがけず妊娠してしまった女性や、生まれてきた子を育てることができない母親など、妊娠や育児に悩む女性たちが24時間365日、いつでも駆け込める相談窓口、それが「小さないのちのドア」だ。助産師の永原郁子さんが院長を務める「マナ助産院」の裏手、人目につきにくいようにして、そのドアはある。18年9月の設立以来、毎月20~30件のペースで、さまざまな新しい悩みが寄せられてきた。永原さんが助産師を目指し、そ -
貧困支援「もやい」理事長は33歳 10年間対峙した困窮の現場
2020/06/01 11:00東京都新宿区にある「自立生活サポートセンター・もやい」。生活困窮者の支援活動を行うため2001年に設立された認定NPO法人だ。若き理事長は、過去10年にわたって、この国の「貧困」と最前線で対峙してきた大西連さん(33)。大西さんのスタート地点は、高卒フリーター時代に初めて参加した炊き出しだったという。「いや、もうびっくり、衝撃でした。こんなにたくさん、野宿の人がいるんだって。こんなところが本当にあ -
失業シンママ、在宅DV…貧困支援「もやい」が見たコロナの惨状
2020/06/01 11:00「あの……、相談したいんですけど……コロナのせいで仕事が見つからず、預金も残り少なくなってしまって、不安で不安で……」それは、先月半ばのことだった。電話をかけてきた女性の声は、いまにも消え入りそうだった。ここは、東京都新宿区にある「自立生活サポートセンター・もやい」。生活困窮者の支援活動を行うため2001年に設立された認定NPO法人だ。もやいでは、毎週火曜日に生活困窮者のための相談会を開催している -
「ワンコインならゲーセンのコインでもOK」“元祖子ども食堂”の思い
2018/05/19 16:00両親が共働きで、いつも“一人で食べる”からだろうか、水で流し込むように食べる子も多い。朝食抜き、出来合いのお総菜ばかり並ぶ……見えてくるのは、現代日本の子どもたちが直面せざるをえない「食」の貧しさなのだ。1週間にたった1度でも、豊かな食事を皆で囲めば、子どもも大人もひと息つける。そんな場所が、今こそ求められている――。東京都大田区は東急池上線の蓮沼駅近くにある「気まぐれ八百屋だんだん」。毎週木曜午 -
“元祖こども食堂”近藤博子さんが語る、現代日本の子供たちの「食」
2018/05/19 16:00現在、日本の子どもの「7人に1人が貧困」とされる。そんな子どもたちが通う「こども食堂」。日本全国で2,286カ所、のべ100万人超が利用しているという――。「お帰り! いらっしゃい! おなかすいたでしょう」東京都大田区は東急池上線の蓮沼駅近くにある「気まぐれ八百屋だんだん」。毎週木曜の夕方から、ここの店内でこども食堂が開かれる。午後5時半。店主の近藤博子さん(58)が、中学生の女子4人を迎え入れる