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「いまどき回覧板とか、面倒なだけ!」という声も多い町内会。東京都内では、町内会(自治会)の数は増えているものの、逆に加入率は激減しているという。つまりマンションが増え、自治会が細分化しているが、若い世代を中心に加入者が減っているのだ。「町内会不要論」も唱えられているいま、町内会の素朴な疑問を識者に聞いた。

 

■そもそも町内会って、いつから存在するの?

「20世紀初頭、地域、特に商店街の治安維持や防犯のために、自発的に組織されました。最初は地主だけが構成員でしたが、都市化によって流入してきた商店主なども加入するようになったのです。さらに第二次世界大戦中、政府が国防のために、町内会整備を行い、全国に広がりました」(地域社会学を専門に研究している首都大学東京の玉野和志教授)

 

■町内会は、どんな仕事をしているの?

「町内会の’50年代ごろの業務は、ハエや蚊などの駆除や、伝染病の予防など、衛生活動が中心でした。その後、仕事は防犯・防災対策が中心になり、防犯のために街灯を自主的に設置していきました。そのため、いまも街灯の管理を、町内会が担っている地域もおおいのです。ほかの大きな仕事は、ゴミ集積所の管理、それにお祭りや運動会などのイベントの主催です」(玉野教授)

 

■町内会には入らなくてはいけないの?

「’05年に最高裁判所が『強制加入の団体ではなく、いつでも退会できる』との判断を示しました。だから町内会は“任意団体”なのです。とはいえ町内会の活動に熱心な人は、2つの論法で加入を迫ってきます。1つは『加入するのが当たり前』というもの。もう1つは、ゴミ集積所を町内会が管理しているなどの理由から、『町内会に入らないと、ゴミ回収のサービスを受けられない』といった脅しです。後者は違法ですが、こういった考えを持っている人もいまだに多いのです」(『“町内会”は義務ですか?』著者で評論家の紙屋高雪さん)

 

■年間会費はいくらぐらいなの?

「全国調査では月500円(年間6,000円)以下が44.5%です。私の取材した範囲では月に200〜300円といったところも多かったですね」(紙屋さん)

 

雪かきなどの費用を、町内会で負担しており、割高になるケースも。本誌アンケート調査によれば、会費を払っていた119人中4人が年間2万円以上と回答した。

 

■払った会費は、どんなことに使われる?

「おもに防犯灯の維持や、会議の際の会場費、自治会連合会に納める費用などに使われます。会議の際の飲食に使われるケースもあります。役員たちの『たいへんな仕事をしているのだから、これくらいの役得はいいだろう』という気持ちもわかりますが、会計報告はきちんとすべきでしょう」(玉野教授)

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