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「最近、『トンチン年金』と呼ばれる新しい年金保険が登場しています。考案したイタリアのトンティ氏にちなんで、こう名付けられています。トンチン年金とは、契約時に決めた支給開始年齢を超えて存命の場合に保険金が受け取れ、長生きするほど多くの保険金が得られる年金です。反対に、支給開始年齢までに亡くなると、払い込んだ保険料より少ない金額しか受け取れません。残った保険料は、長生きした方の年金支払いに回し、加入者全体の保険金をやり繰りする仕組みです」

 

そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今、日本の平均寿命は女性が87.05歳、男性が80.79歳。女性の2人に1人、男性の4人に1人は90歳まで生きる時代(’15年・厚生労働省)。いっぽう、老後の生活費は公的年金だけでまかなえない人が多く、『長生きしたら貯金が底をつくかも……』と不安になる人も。そこで、荻原さんが「トンチン年金」について解説してくれた。

 

「こうした『長生きリスク』を解消しようと、トンチン年金の考え方を活用して設計されたのが、日本生命の『GranAge(グランエイジ)』や、第一生命の『ながいき物語』です。たとえば、50歳女性が『ながいき物語』(10年保証期間付終身年金)に加入、70歳まで保険料を月3万円支払い、70歳から年金を受け取る契約をしたとします。この場合、20年分の保険料総額は720万円です。いっぽう、受け取る年金は毎年30万4,300円なので、94歳になれば払い込んだ保険料の元が取れます。95歳以降は長生きするほど得になり、100歳まで生きると、払った保険料の1.3倍を受け取れるというのがポイントです」

 

ただし、70歳までに亡くなったり、中途解約した場合は、支払った保険料の70%以下しか戻ってこない。保険料を70歳まで払い続けられるか、よく検討を。荻原さんは、“トンチン性”を高め、長生きリスクに備えることは公的年金でも可能だと語る。

 

「公的年金は65歳からの受給ですが、受給開始を66歳以降に『繰り下げ』ると、1カ月につき0.7%受給額が上乗せされます。最長の70歳まで繰り下げると、42%の上乗せになります。公的年金の受給額が年200万円の方が、70歳からの受給とした場合、年金額は年284万円になります。しかし、本来受け取れるはずの70歳までの年金5年分、1,000万円は受け取れません。どちらが得かを計算すると、82歳以上の長生きだと70歳からの受給に繰り下げると得になり、82歳までに亡くなる場合は通常どおり65歳からの受給が得です。また、公的年会は66歳以降なら月単位で繰り下げを終了し、受給を始めることも可能です。寿命は予測できませんが、65歳を過ぎても年金に頼らずに生活できる方は、考えてみてもいいと思います」

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