ーー今年で結成10週年の南海キャンディーズ。2人で雑誌のインタビューを受けるのは、実に6~7年ぶり。それほどピンでの活躍が目立つコンビ。“しずちゃんが山ちゃんを嫌い”なのは本当のようで……!?

山里(以下、Y)しずちゃんが映画『フラガール』に出演したころなんてコンビ仲は最悪。コンビ仲が悪い時期の根底は、すべて僕の嫉妬なんだけど。僕ってすごいクズなんですよ。原動力の9割9分が“嫉妬”なんです。

しずちゃん(以下、S)確かに’06年くらいから数年間は、2人の雰囲気、かなり悪いな……。

Y 結成当初に一度「僕らは天才じゃないんだから、四六時中努力しなきゃ勝てないのに、やらない時間が多すぎる」ってキレたことがあった。しずちゃん悔しかったのか、ツーッと涙一本垂らして、何も言わなかった。「男女コンビってこれか!」って思ったね。それ以降、僕はしずちゃんに直接言えず、マネージャーやメークさんなどにキレてた。いやらしいよね。人づてに伝わるように仕向けてた(笑)。

S 山ちゃんはずっと私に「もっともっと欲を出してほしい」と思ってたかもしれんけど、私は欲が少ないうえに受け身で、人にあまり求めない。「全然やる気ない」って思ってたんじゃない?すれ違いというか、ズレはあったなぁ。

Y 途中から完全に心閉ざしていたもんね。僕は「戦略を立てて、ここまでにコレをやって、もうなんとかしなきゃ」という焦りがあった。でもそれは僕の戦い方。しずちゃん向きじゃないことを、もっと早くに気付くべきだった……。

ーーともにコンビを組みながら、2人で組もうと誘ったのは山里さんなんですよね?

Y しずちゃんと組んだ人が売れるといわれてた時期で。必死で嘘ついて絶対組んでもらおうと思って。口説くときは、ケーキバイキングかカラオケ。しずちゃんがスガシカオしか歌わなくて、「この女、気持ちわりぃな」って思ったのを覚えてる(笑)。

S 当時、何人かから「コンビ組まないか」ってオファーされてたから、モテる女の気持ちやったわ(笑)。前に組んだ男のコが男前だったので、なんか変な気持ちになったり……でもコレやったら大丈夫やなって(笑)。

ーー縁と運のタイミング。奇跡的に“奇妙な男女コンビ”が誕生して、わずか1年半。2人のターニングポイントは’04年のM-1グランプリに訪れた。

Y ネタをやっている最中に、これは売れるなっていう瞬間があった。無表情で淡々とやる漫才なのに、しずちゃんなんか、ネタ中にちょっと笑っちゃってるもんね。

S あそこでピークを迎えたな。漫才のアドレナリンはピーク。あの興奮状態を超える漫才って、いまだにないっていう感じかも。南キャン史上最高。

Y しずちゃんがピンの仕事が増えて、何やっても当たる、どこ行ってもウケる。当時は「M-1のネタ書いたの、僕なんですけど。みんなあのイメージで映画とかCMをオファーしてるけど、それ僕書いたんですけど」って嫉妬してた。しずちゃんが新幹線グリーン車だって聞いたときには、もう許せなくて……。

S そうやな~。そのとき私は自分のことしか考えてなかった。どこに行ってもお菓子がいっぱい用意されてて、うれしかったなぁ(笑)。CMで「妻夫木くんに会える~」と思ったらうれしくて。山ちゃんのことは特に何も考えずにやってました(笑)。

Y「あのやろう、ロケットみたいに俺を切り離そうとしてやがるな。あとで後悔するくらいのスキルを上げてやる」って決意してからの努力は尋常じゃなかった。人付き合いもせずに、ずっとVTR見て本読んで勉強三昧。あと、なんとか引きずり落としてやろうって思って“ロケではあんまり振らない”とかやりましたね(笑)。

S でも、私は解散しようと思ったことはない。南海キャンディーズがあるからこそ、いろいろな仕事につながったと思っていたし、ボクシングもそう。

Y 当初僕は「趣味ならやめろ」って日本でいちばん反対してたんだよね。でも、しずちゃんは死ぬ気でやってた。気を失いながら練習して、舞台の合間の30分に劇場の周りを走ってた。

S この10年間では、コンビ仲は今がいちばんいいと思う。この数年はボクシングに熱中してきたから、やっぱり映画出アクションに挑戦したいなぁ。

Y 漫才はもちろんだけど、僕ももう36歳だから、そろそろ結婚したとは思ってる。アンガールズの田中さんと「今年は合コンに行きまくろう」って結託してるんだ……って、興味ないでしょ?

S えっ?……まさに、そのとおりやね(笑)。

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