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「お疲れさまでした、倉本先生。ありがとうございました」

 

パナマ帽で決めた脚本家の倉本聰(82)がハイヤーに乗り込むのを、加賀まりこ(73)ら豪華出演陣が笑顔で見送っていた。7月12日、都内の撮影スタジオの大会議室で、話題のドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)の打ち上げが極秘裏に行われたのだ。

 

この日は、石坂浩二(76)、浅丘ルリ子(77)ら主要キャストが全員集合。半年にわたる帯ドラマの打ち上げなら、一流ホテルで行われるのがふつうだが……。

 

「倉本さんの鶴の一声で決まったと聞きます。『やすらぎの郷』は、テレビの黄金時代を作った人たちだけが集まる老人ホームでの“黄昏”を描いたドラマ。倉本さんは、そんなドラマの内容を反映させるように『(出演者は)みんなこれまで派手なパーティに嫌というほど出てきたろう。今回は打ち上げもひっそりやって、“終焉”を迎えるっていうのはどうだい?』と提案されたそうです」(スポーツ紙デスク)

 

開始時間も夕方5時からと、こちらもシルバー仕様。打ち上げが始まると、出演者たちはひとりひとり登壇して、スピーチしていった。最近、人生の目標を聞かれると「転ばない。風邪ひかない」と答えていると話して、会場を笑わせたのは加賀。なんとそれにツッコんだのが倉本だった。

 

「転ばなくてよかった!」

 

テレビ朝日の社運がかかっていると言われた『やすらぎの郷』の成功に引っかけた御大のツッコミに、会場はさらに爆笑の渦。印象的なテーマ曲『慕情』を歌う中島みゆき(65)からは会場にメッセージが届いた。

 

「彼女はドラマの内容聞いたうえで『慕情』を作曲したのですが、倉本先生に曲を聴いてもらうときはひどく緊張したと。ダメ出しされることを覚悟していたので、倉本先生と2人きりで曲を聴いてもらったそうで、『OK』が出たときは喜びもひとしおだったそうです」(前出・テレビ局関係者)

 

この打ち上げに唯一“欠席”したのが、6月13日に肺尖がんのため亡くなった野際陽子さん(享年81)だ。5月7日まで収録に参加していた野際さんに、出演者は次々と感謝の言葉を述べた。

 

「野際さんが“全裸で泳ぐ”と書かれた場面が台本にあって、ミッキー・カーチスさんが『本当に野際さんが裸で泳ぐのかと思った』と言うと、会場はもう泣き笑いの雰囲気で。プロデューサーも『野際さんがいると安心できた。自分たちのよりどころでした』と、彼女をしのんでいました」(ドラマスタッフ)

 

夜9時前、参加者たちが次々と会場から出てきた。その笑顔に刻まれていたのは、「やりとげた」という満足感。もう二度と見られないだろう“伝説のドラマ”にふさわしい幕切れだった――。

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