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「最近、うちのかかあ(妻)がここに撮影の見学に来たんですよ。感想を聞いたら、『ふし〜ぎな感じ』とひと言。彼女と出会ったときは、僕はフォークソングを歌っていましたから、ご老公になった亭主の変わりように驚いたんでしょう(笑)」

 

こう話すのは、6代目水戸光圀を演じる武田鉄矢(68)。レギュラー放送終了から6年。人気時代劇『水戸黄門』(BS-TBS・水曜19時〜、10月4日スタート)がお茶の間に帰ってくる。京都・太秦の東映撮影所を闊歩する武田の姿は、すっかり“ご老公”そのものだ。

 

「昔、メーク室で北大路欣也さんと一緒になったことがあって。鏡の前で腕組みをしている姿を見て、おっかねえ兄ちゃんだなあと思いながら、そっと後ろを通ったことがあったねえ。懐かしいよなあ」

 

歴史と伝統が息づく撮影所。そう懐かしく振り返る武田が、『水戸黄門』のビックリしたしきたりを教えてくれた。

 

■黄門様の威厳は場面のつながりを超越

 

「演者は場面の“つながり”を大事にしていて、小道具や衣装に注意を払う。でも、黄門様はいっさい関係ないんです。わらじを履いていても、その直後のシーンで印籠を出すときはいつの間にか草履に履きかえているわけ。『決まりだから』と言われて驚きました。役者人生で初めてで、伝統ある作品ならではの、摩訶不思議な流儀だな、と(笑)」(武田・以下同)

 

■立ち回るエキストラは超ベテラン

 

「印籠を出して悪人たちが『ハハーッ!』とひれ伏す場面。エキストラが『格さんのセリフがちょっと早いなぁ』と注文をつけるんですよ。聞けば、初代のころからずっと頭を下げてるって(笑)。あと、有名な“2万回斬られた男”に握手してもらってね。斬られ役もみんなベテランで、新人は僕たちだけというのがおもしろい」

 

■限られたセリフで、黄門様のひと言がもつ重み

 

「1シーンはだいたい台本の2〜3ページで、そのうち黄門様のセリフは行数にしたら5〜6行、と言うならば二日酔いでも入れられるセリフの量なんだな。しかも、いっぱい出てる(笑)。これが伝統あるドラマの単位なのかと感心しました。セリフの一語一句に、含蓄もあればユーモアもあって、非常に巧みなんです」

 

“格さん”渥美格之進役の荒井敦史(24)、“助さん”佐々木助三郎役の財木琢磨(24)、風車の弥七役の津田寛治(52)が脇を固める、新生『水戸黄門』。武田は「人間臭さを生々しく演じたい」と語った。

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