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フィレンツェでの生活も約1カ月が経とうとしています。日本では外食ばかりの私でも、ここでは毎日のように中央市場に通い、そこで調達した食材で料理に励む日々を過ごしています。

さて、本日は“永遠の独身貴族”と名高いジョージ・クルーニー氏が水の都ベネチアで結婚式をあげたというニュースです。クルーニー氏といえば、米ピープル誌の「もっともセクシーな男」に二度も選ばれたハリウッドきっての人気俳優。今年53歳の彼は‘89年にアメリカ人女優のタリア・バルサムさんと結婚したものの、4年後の‘93年に離婚。その後は「もう二度と結婚しない」と宣言し、今日まで独身を貫いてきました。

そのクルーニー氏の宣言をいとも簡単に覆した張本人は、36歳イギリス人女性弁護士のアマル・アラムディンさん。レバノンの首都・ベイルート出身で、子供のころ両親とロンドンに移住。後に名門オックスフォード大学やニューヨーク大学ロースクールで学び、現在はロンドンを拠点に活動する敏腕弁護士です。

 

英語はもちろん、フランス語やアラビア語も自由自在に駆使。機密告発サイト「ウィキリークス」創設者であるジュリアン・アサンジ氏の弁護人を務めたほか、内戦中のシリア問題でアナン元国連事務総長のアドバイザーも務めた才女です。イスラエル軍のガザ侵攻が人権侵害に当たるかを調べた調査委員会3名のなかにも選ばれるなど、その志や能力の高さはお墨付き。英国ではクルーニーに負けじと「もっともセクシーな女性弁護士」に選ばれ、知性や志に加えて美貌も群を抜いていると評判です。

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いっぽうクルーニー氏も俳優業だけではなく、国際的な人権問題にも積極的に取り組んできた「知る人ぞ知る」熱心な人権活動家でもあります。たとえば‘10年のハイチ地震の際は募金活動を行い、国連の平和大使としてスーダンの難民支援にも積極的に関わってきました。‘12年には父親でジャーナリストのニック・クルーニーさんらとスーダン政府の人権侵害問題に対する抗議デモを行ったことで逮捕されるなど、体を張った人道的支援活動で多くの賛同者を得ています。

そこで、以下では今回の結婚が持つクルーニー氏の政界進出への意味を考えたいと思います。クルーニー氏の政界進出について、現段階ではどのメディアの報道も推測の域を超えていません。しかし、その可能性はかなり現実味を帯びてきているのも事実です。というのも、クルーニー氏は以前から親交のあるバラク・オバマ大統領率いる民主党から政界進出の誘いをかけられ、‘18年に行われる予定のカリフォルニア州知事選への立候補の打診を受けているとされています。

ハリウッドのお膝元であるカリフォルニア州は、クルーニー氏が政治家のキャリアをスタートするのにこれ以上ない場所。アーノルド・シュワルツェネッガー氏やアメリカ大統領にもなった元俳優のロナルド・レーガン氏もこのカリフォルニア州知事出身です。アメリカには、俳優出身で政界に進出して輝かしい業績を収めた人も数多い。もしクルーニー氏が州知事に当選すれば、大統領選への強力な布石を打つことになりそうです。

ジャーナリストの父を持ち、積極的な人道的支援活動を行い、女性有権者からの絶大的な支持基盤があり、オバマ氏の大統領選挙応援でも確認された政治資金調達能力もある。そんな彼がアメリカの外交政策の要でもある中東情勢に精通し、世界トップクラスの知性と美貌を持ち合わせたアラムディンさんと結婚したことを考慮すれば、「ジョージ・クルーニー大統領」の誕生も夢物語ではない気がします。


ジョン・キム 吉本ばなな 「ジョンとばななの幸せって何ですか」(光文社刊・本体1,000円+税)

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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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